自宅で亡くなった場合の検死はどうする? 完全ガイドでサポートします
大切な家族が自宅で亡くなった時、悲しみに暮れる中で検死の対応に迫られるのは非常につらいことです。しかし、故人の死因を究明し、円滑に葬儀の準備を進めるためには、検死の流れを理解しておくことが重要です。検死とは遺体や周囲の状況を調べて死因を特定する手続きで、検視・検案・解剖が含まれます。犯罪や事故の可能性がある場合などは検死が必要となりますが、かかりつけ医の有無で対応が異なります。検死にかかる費用は状況により異なり、期間は数日から1ヶ月以上かかることもあります。検死中は葬儀の準備を並行して進めることが大切です。
自宅で亡くなった場合の検死の流れ
自宅で身近な方にもしものことが起こった際に、どう対応すればよいのでしょうか。ここでは、自宅で家族が亡くなった場合の検死について、分かりやすくご説明します。
検死とは何か
検死とは、亡くなった方の死因を究明するために行われる一連の手続きの総称です。具体的には以下の3つの手続きが含まれます。
- 検視:警察官や検視官が、遺体の状況や周囲の状況を詳しく調べ、事件性の有無を判断します。
- 検案:医師が、遺体の外表面を検査し、病歴や死亡状況から医学的見地で死因や死亡時刻などを推定します。
- 解剖:検案で死因が特定できない場合や、事件性が疑われる場合に、医師が遺体を切開して内部の状態を詳しく調べます。
これらの手続きを経て、亡くなった方の死因が特定され、死体検案書が作成されます。
検死が必要になるケース
以下のようなケースでは、検死が必要となります。
- 自殺や事故、事件性が疑われる場合
- 病死や自然死と判断できない場合
- 感染症や中毒が原因で亡くなった場合
- 診察で異常や不審な点が見つかった場合
- 治療中ではなかった病気で突然亡くなった場合
- 医療事故の可能性がある場合
- 身元が分からない場合
このように、予期せぬ死や不審な死など、死因がはっきりしない場合は検死が行われます。
自宅で家族が亡くなった時の対応方法
自宅で家族が亡くなった場合の対応は、かかりつけ医の有無によって異なります。
かかりつけ医がいる場合 | かかりつけ医がいない場合 |
---|---|
かかりつけ医に連絡し、自宅に来てもらう。 医師が検案を行い、死亡診断書を作成。 死亡診断書を市区町村の窓口に持参し、死亡届を提出。 | 警察に連絡し、状況を説明。 警察官が検視を行い、医師による検案へ。 検視や検案の結果、死体検案書が作成される。 死体検案書を市区町村の窓口に持参し、死亡届を提出。 ※遺体に触れたり動かしたりせず、現場を保存することが重要。 |
このように、かかりつけ医の有無で大きく対応が異なります。特に、かかりつけ医がいない場合は、警察による検視が行われるため、現場保存が重要となります。
また、検死と並行して葬儀の準備を進めていく必要があります。
- 葬儀社の選定と見積もり依頼
- 葬儀の日程や場所、規模、形式などを家族で相談
- 喪主や弔問客の選定、葬儀に必要な物品の準備など
悲しみに暮れる中での葬儀の準備は大変ですが、故人を見送るための大切なプロセスです。周囲の協力を得ながら、一つ一つ進めていきましょう。
検視の拒否は可能か
検視は、刑事訴訟法第229条によって、犯罪や事故の疑いがある場合に必要性が認められており、原則として拒否することはできません。ただし、解剖については状況によって異なります。
- 司法解剖:犯罪や事故の可能性が高い場合に行われ、原則として遺族の同意なく実施されます。
- 承諾解剖:遺族の同意が必要であり、同意がない場合は拒否できます。
- 病理解剖:医学的な目的で行われる解剖で、遺族の同意が必要です。
このように、検視については拒否できませんが、解剖については状況によって拒否できる場合があります。ただし、犯罪や事故の可能性が高い場合は、真相究明のために解剖が必要不可欠であることを理解しておくことが大切です。
検死の種類や内容、拒否できるかどうかについては、事案によって異なる部分もあるため、詳しくは警察や医療機関、葬儀社などに確認することをおすすめします。専門家からの適切なアドバイスを受けることで、故人の尊厳を守りながら、円滑に手続きを進めていくことができるでしょう。
検死にかかる費用と負担
大切な家族を突然失うことは非常に辛く、悲しみに暮れる中で検死や葬儀の手続きを進めなければなりません。そんな状況下で気になるのが、検死にかかる費用の問題です。ここでは、検死の種類ごとの費用相場や負担について詳しく解説します。
検視・検案・解剖の費用相場
検死には「検視」「検案」「解剖」の3つの種類がありますが、それぞれ費用の相場が異なります。
検死の種類 | 費用相場 |
---|---|
検視 | 5万円程度 |
検案 | 2万円〜3万円程度 |
解剖 | 司法解剖:無料 (全額国が負担してくれる) 行政解剖:自治体による 承諾解剖:数万円〜数十万円 |
検視は状況によっては数万円程度の費用がかかる場合があります。検案は医師が行うもので、2万円〜3万円程度の費用が必要です。
解剖については種類によって費用負担が大きく異なります。犯罪性が疑われる場合に行われる司法解剖は、全額国の負担となり遺族の費用負担はありません。一方、行政解剖は自治体によって費用負担が異なり、全額自己負担となる場合もあります。承諾解剖は、遺族の同意が必要な任意の解剖で、費用は数万円〜数十万円とケースによって幅があります。
費用の自治体による違い
検死にかかる費用は、自治体によって異なります。例えば、検案料は東京23区では全て都が負担するので無料ですが、地方都市では3万円以上かかることもあります。行政解剖の費用負担も、全額公費負担の自治体もあれば、一部または全額自己負担の自治体もあるので、事前に確認しておくことが重要です。
なお、葬祭費の支給制度を設けている自治体もあります。保険や共済組合に加入しているかどうかの条件はありますが、支給される場合は検死の費用負担も軽減されます。自治体のホームページ等で確認してみましょう。
司法解剖の費用負担
犯罪性が疑われるなど、司法解剖が行われる場合は、解剖にかかる費用はすべて国が負担します。ただし、解剖後の遺体の引き取りや葬儀に関する費用は、遺族の負担となります。
司法解剖では、遺体の状態によっては解剖後の遺体の修復に時間がかかり、葬儀が大幅に遅れることがあります。葬儀の日程については、警察や解剖を行う医療機関と相談の上、慎重に決定する必要があります。
検死にかかる費用は、検死の種類や自治体によって大きく異なります。万が一の際は、警察や医療機関、役所の担当窓口に相談し、正確な情報を入手することが大切です。葬儀社のスタッフも、検死の費用や葬儀の準備について丁寧にサポートいたしますので、ご不明な点があればお気軽にご相談ください。
検死の所要期間と葬儀の準備
大切な家族を突然亡くした悲しみに暮れる中、検死や葬儀の手続きを進めていかなくてはなりません。検死の所要期間は状況によって異なりますが、その間にも葬儀の準備を並行して進めていく必要があります。ここでは、検死の所要期間と、その間にしておくべき葬儀の準備について解説します。
事件性がない場合の検死の流れと期間
自殺や事故の可能性が低く、病死や自然死が疑われるケースでは、以下のような流れで検死が行われます。
- かかりつけ医による検案(死亡診断書の作成):1~2日
- 行政解剖(死因究明のため):3~5日
- 遺体の自宅への搬送:解剖終了後速やかに
事件性がない場合、検死の所要期間は通常1週間以内で完了します。ただし、死因によっては行政解剖が行われない場合もあり、さらに短縮される可能性もあります。
事件性がある場合の検死の流れと期間
犯罪や事故の疑いがある場合は、警察による捜査が入るため、検死の所要期間は長くなる傾向にあります。
- 警察による検視:1~2日
- 司法解剖(死因究明と証拠保全のため):3~14日
- 遺体の自宅への搬送:解剖終了後、捜査状況による
事件性がある場合、司法解剖は丁寧に行われるため、通常数日間~1か月以上を要します。また、遺体の搬送は捜査の進捗状況によって左右されるため、予断を許さない状況です。
身元不明の場合の検死の流れと期間
亡くなった方の身元が特定できない場合は、以下のような特殊な流れをたどります。
- 警察による検視:1~2日
- 司法解剖(死因究明と身元確認のため):3~14日
- DNA鑑定や指紋照合などによる身元確認:2週間~1ヶ月以上
- 遺体の引き渡し:身元が判明し、遺族が見つかり次第
身元不明の場合、司法解剖に加えて、DNA鑑定等の身元確認作業が行われるため、検死の所要期間は1ヶ月以上に及ぶこともあります。また、最終的に身元が判明せず、引き取り手がない場合は、自治体による社会葬が行われます。
検死中にしておくべき葬儀の準備
検死の所要期間は状況によって異なりますが、いずれにせよ数日から数週間を要します。この間に、以下のような葬儀の準備を進めておくことが大切です。
- 葬儀社の選定と見積もり依頼
- 葬儀の日程や場所、規模感、宗教・宗派などの大枠を決定
- 喪主や参列者の選定、連絡
- 遺影写真の選定や準備
- 必要な物品や備品の手配(香典帳、供花、食事、返礼品など)
葬儀は故人を偲び、故人との別れを告げる大切な儀式です。検死の間は気が重くなりがちですが、葬儀の準備を着実に進めることで、故人に対する想いを形にしていきましょう。
検死の所要期間や葬儀の準備について不安な点がありましたら、経験豊富な葬儀社スタッフにご相談ください。故人や遺族の尊厳を第一に、適切なアドバイスと手厚いサポートを提供いたします。
まとめ
大切な家族が自宅で亡くなった場合、悲しみに暮れる中で検死の対応に迫られるのは非常につらいことです。検死とは、亡くなった方の死因を究明するために行われる一連の手続きで、検視・検案・解剖が含まれます。自殺や事故、事件性が疑われるケースなどで検死が必要となりますが、かかりつけ医の有無で対応が異なります。検死の費用は状況により異なり、期間は数日から1ヶ月以上かかることもあります。その間、葬儀の準備を並行して進めていくことが大切です。検死や葬儀についてご不明な点は、経験豊富な葬儀社にご相談ください。
監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)
家族葬のセレモニーハウスは、神奈川県、東京都、北海道(札幌市)で、心のこもった家族葬をご納得いただける価格でご提供している家族葬専門の葬儀社です。
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