死装束とは?左前の意味から準備の手順まで解説

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2025/02/04
死装束とは?左前の意味から準備の手順まで解説

大切な人を亡くし、葬儀の準備に追われる中で、死装束についての知識不足に戸惑っていませんか?死装束は、故人への最後の贈り物であり、着せ方一つで故人への思いが表現されます。この記事では、死装束の定義や特徴から、左前で着せる意味、そして正しい着せ方までを丁寧に解説します。故人を敬う心を込めた死装束の準備を、しっかりとサポートいたします。

死装束とは何か

死装束の定義と特徴

死装束とは、亡くなった人に着せる白い着物のことを指します。死者に着せる特別な衣装で、白色が使用されるのが特徴です。

古来より、白は「死」を象徴する色とされてきました。死装束に白が用いられるのは、死者が現世から離れ、あの世へと旅立つことを表しているのです。

白色が使われる理由と意味

死装束に白色が用いられるのには、いくつかの理由と意味があります。

一つは、白は穢れの無い色だからです。死によって肉体から解き放たれ、魂が清らかなままあの世に旅立つことを願う意味が込められています。

また、日本の伝統的な考え方では、白は「死」を連想させる色でもあります。喪服が黒ではなく白だったのもそのためです。白の死装束は、人の死を悼み、葬送する気持ちの表れだといえるでしょう。

死装束の左前着装の意味

左前着装の主な由来説

死装束を着せる際、着物の左前を合わせる着方を「左前着装」と呼びます。通常、生前に着る着物は右前で着るのが一般的ですが、死装束は左前で着せるのが特徴です。

この左前着装には諸説ありますが、大きく分けて「逆さ事の一環」「仏教的解釈」「身分制度との関係」の3つの由来が考えられています。それぞれ見ていきましょう。

逆さ事としての左前着装

左前着装が行われる理由の一つに、「逆さ事」の一環であるという説があります。逆さ事とは、通常とは逆の方法で物事を行うことで、あの世とこの世の区別をつけるための儀式的な行為です。

死装束の左前着装以外にも、北枕(頭を北に向ける)、逆さ屏風(枕元の屏風を逆にする)、逆さ着物(上着を上下逆に掛ける)など、様々な逆さ事が葬儀の中で行われています。

これらは全て、死者があの世に旅立つために、この世とは異なる特別な扱いをするための儀式と考えられています。左前着装もその一つであり、生前とは異なる着方をすることで、死者の旅立ちを表しているのです。

仏教的解釈から見た左前着装

左前着装には、仏教的な意味合いもあると考えられています。特に、奪衣婆(だついば)との関連性が指摘されています。

奪衣婆とは、三途の川に住む老婆で、川を渡ろうとする死者の衣服を奪い取ると言われている存在です。着物を脱がされるのを嫌った死者が、急いで着物を裏返しに着たことから、左前着装の習慣が生まれたのではないかと考えられているのです。

また、三途の川を渡る際には、死者が罪に汚れていないことを示すために、白い死装束を着る必要があるとも言われています。左前着装は、こうした死後の世界への旅立ちに備える意味があるのかもしれません。

身分制度と左前着装の関係

左前着装と身分制度の関係性についても、興味深い指摘があります。中国では古来より、左前は貴人の着方とされてきました。日本にもその影響が伝わり、左前着装には、死後の平等思想が込められていると考えられているのです。

生前は身分によって着る着物が異なっていましたが、死後は全ての人が平等であるという思想を反映して、死装束では身分の差がなくなります。

誰もが同じように白い死装束を左前で着せられることで、現世の身分を脱ぎ捨て、あの世では平等な存在となることを表しているのです。

左前と右前の違い

死者に用いる左前と生者の右前着装

死装束の着装方法で特徴的なのが、左前で着せることです。通常、生前に着る着物は右前で着るのが一般的ですが、死者に着せる死装束は左前で着せるのが慣習となっています。

右前は生者が着用する通常の着方であり、日常生活で着物を着る際には右側の前合わせで着ることになります。一方、左前は死者のみに用いられる特別な着方で、亡くなった人を弔うために行われる儀式的な意味合いがあります。

左前で着せることで、故人があの世に旅立つことを表現し、生前とは異なる扱いをすることで、死者を特別な存在として敬うのです。

右前着用の歴史的背景と衣服令

右前着用が一般的になったのには、歴史的な背景があります。718年に制定された「衣服令」で、右前着用が規定されたことがその理由です。

衣服令で「発令天下百姓右襟」という定めが発令され、以降、着物の右前着用が定着しました。

死装束の着装方法

左前の定義と着方の特徴

死装束の着装で最も特徴的なのが、左前で着せるという点です。左前とは、着物の左身頃を手前に合わせる着方のことを指します。

通常、生前に着る着物は右前で着るのが一般的ですが、死装束では左前で着せるのが慣習となっています。左前着装には、故人を弔うための儀式的な意味合いがあり、生前とは異なる特別な扱いをすることで、死者を敬う気持ちを表しているのです。

相手から見た死装束の見え方

死装束を正面から見ると、左側の着物の身頃が上に重なって見えるのが特徴です。通常の右前の着物では、右側の身頃が上に重なって見えるのとは対照的です。

この左右の重なりの違いが、死装束を着せることで故人とお別れをする象徴的な意味を持っています。生前とは異なる着方をすることで、故人があの世に旅立つことを表現しているのです。

着方着る人見え方の特徴
右前生者右側の身頃が上に重なる
左前死者左側の身頃が上に重なる

まとめ

死装束の着装は故人を弔うための大切な儀式です。故人への敬意を込めて、丁寧に行うことが大切です。また、宗派によって着装方法が異なる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。

死装束は故人への最後の贈り物であり、その着せ方には深い意味が込められています。白色の死装束は、故人が現世から離れ、清らかな魂であの世へ旅立つことを表しています。左前で着せるのは、生前とは異なる特別な扱いをすることで、死者を敬う気持ちの表れです。宗派や地域によって習慣の違いはありますが、故人を偲び、感謝の気持ちを込めて丁寧に着せることが何より大切です。



監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)

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