遺影写真の正しい飾り方|場所選びから向きまでわかりやすく解説します

大切な人を亡くされた際、遺影写真をどのように飾るか悩んでいませんか?遺影写真は故人を偲び、追悼の意を表す大切なものですが、飾り方には注意が必要です。この記事では、遺影写真の意義や種類、設置時期、適切な場所や向き、注意点などを詳しく解説します。正しい方法で心を込めて飾ることで、故人への敬意を表し、遺族の思いを大切にすることができるでしょう。
遺影写真とは?
遺影写真とは、故人の生前の写真を使用して、葬儀や法要の際に飾る写真のことです。遺影写真は、故人を偲び、追悼する大切な役割を担っています。
遺影写真の意義と役割
遺影写真は、故人の生前の姿を偲ぶ大切な手段です。葬儀や法要の際に、遺影写真を飾ることで、参列者は故人を思い出し、故人への感謝や追悼の気持ちを込めて手を合わせることができます。
また、遺影写真は、故人の人柄や生き方を伝える役割も果たします。写真から伝わる故人の笑顔や優しい表情は、遺族や参列者の心を癒し、故人への敬意を表すことができます。
遺影写真の大きさ
遺影写真の大きさは、一般的に「四つ切り」と呼ばれる254×305mmのサイズが使用されます。ただし、故人の顔が大きく写るようにトリミングを行うことが重要です。
遺影写真の額縁選び
遺影写真の額縁は、故人の人柄や好みに合わせて選ぶことが大切です。一般的には、シンプルで上品な額縁が選ばれることが多いですが、故人の趣味や個性を反映した額縁を選ぶこともできます。
また、額縁の材質や色も重要なポイントです。木製の額縁は温かみがあり、金属製の額縁は高級感があります。色は、黒や茶色が多く使われますが、灰色・淡い青色・桃色・紫色などもあります。
遺影写真の設置時期と期間
葬儀・告別式での設置
遺影写真は、葬儀や告別式の際に必ず用意されます。故人を偲び、参列者が手を合わせるために欠かせない存在です。葬儀や告別式では、祭壇の中央に遺影写真が飾られることが一般的です。
この時期の遺影写真は、参列者が故人を偲ぶための大切な手段となります。故人の笑顔や優しい表情が写った写真を選ぶことで、参列者の心を癒し、故人への敬意を表すことができるでしょう。
四十九日までの設置
葬儀・告別式が終わった後も、多くの場合、四十九日までは遺影写真を飾り続けます。この期間は、故人の魂が現世に留まると考えられているため、特に大切にされます。
四十九日までは、遺影写真を後飾り祭壇に設置するのが一般的です。後飾り祭壇とは、葬儀・告別式が終わった後に、自宅に設置される祭壇のことです。毎日のお供えやお参りを行う場所となります。
四十九日以降の設置
四十九日が過ぎると、遺影写真の設置は任意となります。継続して設置するか、処分するかは遺族の判断に委ねられます。ただし、設置は必須ではありません。
四十九日以降も設置を続ける場合は、長押(なげし)への壁掛けや、仏間、床の間への設置が推奨されます。仏壇の近くに置くことも可能ですが、仏壇の中や正面、真上は避けるべきとされています。
設置継続か処分かの判断基準
四十九日以降の遺影写真の扱いについては、遺族の意向が尊重されます。設置を継続するか、処分するかは、以下のような基準を参考に判断するとよいでしょう。
- 故人への思いの強さ
- 遺族の心情や意向
- 自宅のスペースや設置場所の有無
- 宗教的・文化的背景
遺影写真は、故人を偲び、追悼するための大切なアイテムです。設置期間や場所、継続の是非については、遺族の気持ちを第一に考えることが何より大切です。故人への敬意を忘れずに、心を込めて扱っていきたいものですね。
遺影写真の適切な設置場所
遺影写真を飾る際、適切な場所を選ぶことが大切です。故人への敬意を表し、遺族の思いを大切にしながら、落ち着いて故人を偲べる空間を作ることが重要でしょう。
ここでは、遺影写真の適切な設置場所について、推奨される場所や避けるべき場所、仏壇との位置関係、部屋のレイアウトを考慮した配置など、詳しく解説していきます。
推奨される設置場所
遺影写真を設置する際、次のような場所が推奨されています。
- 長押(なげし)への壁掛け:部屋の上部に設けられた長押に遺影写真を掛けると、目線よりも高い位置に配置できるため、故人への敬意を表すのに適しています。
- 仏間や床の間:日本家屋の仏間や床の間は、祭壇を設けるのに最適な場所です。遺影写真を中心に、花や線香、お供え物などを飾ることで、故人を偲ぶ空間を作ることができます。
- 仏壇近く(ただし内部は不可):遺影写真を仏壇の近くに置くことで、故人とのつながりを感じることができます。ただし、仏壇の中に置くことは避けましょう。
避けるべき設置場所
一方で、遺影写真を設置する際に避けるべき場所もあります。
- 仏壇の中:仏壇の中は、本尊や位牌を安置する神聖な場所です。遺影写真を仏壇の中に置くと、本尊が隠れてしまい、仏様に失礼にあたります。
- 仏壇の正面:仏壇の正面は、本尊や位牌に向かって手を合わせる場所です。遺影写真を正面に置くと、手を合わせる際の妨げになる可能性があります。
- 仏壇の真上:仏壇の真上は、本尊や位牌よりも高い位置になります。遺影写真を仏壇の真上に置くことは、仏様にに失礼にあたります。
仏壇との位置関係
遺影写真と仏壇との位置関係にも気を配る必要があります。基本的には、仏壇の向きに合わせて遺影写真を設置するのが望ましいとされています。
一般的な方向としては、以下の2つが挙げられます。
- 南向き(南面北座説)
- 東向き(西方浄土説)
ただし、宗派によっては本山の方向に向けて設置するのが適切とされる場合もあります。各宗派の作法に従って、適切な向きを選ぶことが大切です。
部屋のレイアウトを考慮した配置
遺影写真の設置場所を選ぶ際は、部屋全体のレイアウトも考慮する必要があります。遺影写真を中心に、落ち着いて故人を偲べる空間を作ることが重要です。
以下のようなポイントに気を付けながら、遺影写真を配置しましょう。
- 見やすい位置の選択:遺影写真は、部屋に入ってすぐに目に入る位置に置くのが効果的です。ただし、日常生活の動線を妨げないよう、配置には注意が必要です。
- インテリアとの調和考慮:遺影写真の額縁や飾り方が、部屋の雰囲気と調和するよう工夫しましょう。故人の好みや部屋の雰囲気に合わせて、額縁の色や材質を選ぶのもよいでしょう。
- 遺族への配慮:遺影写真の設置場所や飾り方は、遺族の意向を尊重することが大切です。故人を偲ぶ気持ちを大切にしながら、遺族が納得できる設置場所を選びましょう。
遺影写真の設置場所選びは、故人への敬意と遺族の思いを大切にしながら、慎重に行うことが求められます。推奨される場所を参考にしつつ、避けるべき場所には注意を払い、仏壇との位置関係や部屋のレイアウトにも配慮しながら、故人を偲べる落ち着いた空間を作っていきましょう。
遺影写真の正しい向きと方角
遺影写真を設置する際、正しい向きと方角を選ぶことは大変重要です。故人への敬意を表し、遺族の思いを大切にしながら、適切な向きを選ぶことが求められます。
ここでは、遺影写真の正しい向きと方角について、基本的な考え方や南向き・東向きの意味合い、宗派による違いなどを詳しく解説していきます。
基本的な向きの考え方
遺影写真の向きを決める際の基本は、仏壇の向きに合わせることです。仏壇は、故人の魂を祀る大切な場所であり、遺影写真もそれに準じて設置されるべきとされています。
仏壇の向きは、家の間取りや宗派によって異なることがありますが、一般的には南向きや東向きが好まれます。遺影写真も、仏壇と同じ方角を向くようにするのが望ましいでしょう。
南向きと東向きの意味合い
遺影写真を南向きに設置する理由は、「南面北座説」に基づいています。この説では、お釈迦様が説法の際、南向きに座っていたといたことから、南向きがいいとされています。
一方、東向きに設置する理由は、「西方浄土説」によるものです。この説では、西方に浄土があると考えられており、故人の魂が西に向かって旅立つとされています。遺影写真を東向きに設置することで、故人の魂を浄土へと導くことができると考えられているのです。
宗派による向きの違い
ただし、宗派によっては、南向きや東向き以外の方角を推奨する場合もあります。例えば、浄土真宗では、西向きに遺影写真を設置することが一般的です。これは、浄土真宗の本尊である阿弥陀如来が西方に住まわれているとされているためです。
また、臨済宗や曹洞宗などの禅宗では、遺影写真を北向きに設置することが多いとされています。これは、釈迦が北枕で涅槃に入ったことに由来しているようです。
本山方向を向く場合の注意点
宗派によっては、本山の方向に遺影写真を向けることが推奨される場合もあります。本山とは、その宗派の中心となる寺院のことで、宗派によって場所が異なります。
本山方向に遺影写真を向ける場合は、以下のような点に注意が必要です。
- 本山の正確な方角を確認する
- 本山方向に向けることで、他の方角との兼ね合いが悪くならないか確認する
- 本山方向に向けることが、故人や遺族の意向に沿っているか確認する
遺影写真の向きは、故人への敬意と遺族の思いを大切にしながら、慎重に選ぶ必要があります。基本的な南向きや東向きを参考にしつつ、宗派の考え方にも配慮し、本山方向を向く場合は注意点を踏まえながら、最適な向きを選びましょう。
遺影写真を飾る際の注意点
故人を偲び、追悼の意を表す遺影写真。その設置には、いくつかの注意点があります。ここでは、遺影写真を飾る際の注意点について、安全性や宗教的な側面、美観など、さまざまな観点から詳しく解説していきます。
安全性と固定の確実性確保
遺影写真を飾る際は、まず安全性を確保することが大切です。特に、壁に掛ける場合は、しっかりと固定し、落下防止策を講じる必要があります。ひもや金具などを使って、確実に固定しましょう。
また、仏壇の上や棚の上に置く場合も、安定感のある台座を使うなどして、倒れないように注意が必要です。地震対策として、免震ゲルやすべり止めシートを使うのも効果的でしょう。
宗派に応じた作法の確認
遺影写真の設置には、宗派によって異なる作法があります。各宗派の考え方や慣習を確認し、それに沿った飾り方をすることが重要です。
例えば、浄土真宗では、遺影写真を西向きに設置するのが一般的とされています。一方、禅宗では北向きが好まれる傾向にあります。宗派によって適切な方角が異なるため、事前の確認が欠かせません。
遺影写真の見やすさの優先
遺影写真は、故人を偲び、手を合わせるために飾るものです。そのため、遺影写真がよく見える位置に設置することが大切です。目線の高さや、部屋に入ってすぐに目に入る場所などを選ぶとよいでしょう。
また、照明にも気を配る必要があります。遺影写真に光が反射して見えにくくならないよう、照明の位置や角度を調整しましょう。
インテリアとの調和
遺影写真は、部屋の雰囲気と調和するように飾ることも大切です。額縁の色や材質、デザインが部屋の印象と合っているかどうかを確認しましょう。
和室に飾る場合は、木製の額縁や和風のデザインが適しています。一方、洋室では、シンプルでモダンな額縁が調和するでしょう。故人の好みを反映しつつ、部屋との一体感を演出することが理想的です。
遺族の心情への配慮
遺影写真は、何より遺族の心情を大切にして飾る必要があります。設置場所や飾り方について、遺族の意見や希望を丁寧に聞き、それを尊重することが何より重要です。
時には、遺族の中でも意見が分かれることがあるかもしれません。そのような場合は、話し合いを重ね、故人を偲ぶ気持ちを共有しながら、最良の方法を見出していくことが求められます。
遺影写真は、故人への敬意と遺族の思いが込められた大切なものです。安全性や宗教的な側面、見やすさ、美観、遺族の心情など、さまざまな点に配慮しながら、心を込めて飾っていきたいものですね。
まとめ
遺影写真は故人を偲び、追悼の意を表す大切なものです。設置の際は、四十九日までは後飾り祭壇に、その後は任意の場所に飾ります。長押への壁掛けや、仏間、仏壇近くが推奨され、仏壇内部や正面、真上は避けましょう。向きは仏壇に合わせ、南向きや東向きが一般的ですが、宗派により本山方向も可能です。安全性や見やすさ、インテリアとの調和、遺族の心情への配慮も忘れずに、故人への敬意を込めて心を込めて飾ることが肝要です。

監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)
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