ご遺体の搬送は自分でできる?法律や自家用車の注意点を解説

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2025/04/01
ご遺体の搬送は自分でできる?法律や自家用車の注意点を解説

大切な方が亡くなられた場合、まず頭を悩ませるのが「ご遺体の搬送」ではないでしょうか。通常は葬儀社に依頼するケースが多いですが、実は自分で搬送を行うことも法律上不可能ではありません。本記事では、遺体搬送を自分で行う際の法律やリスク、自家用車を利用するポイント、そして専門業者に依頼するメリットを詳しく解説します。

ご遺体を運ぶという行為には、大切な故人との最後の車中での時間という側面もあります。しかしながら、衛生管理や搬送先の手配など多くの注意点を踏まえなければなりません。しっかりと情報を理解して、後悔のない決断を行いましょう。

遺体搬送を自分ですることは可能?法律の基本

ここでは、遺体搬送を自分で行うにあたって押さえておきたい法律上のポイントを解説します。

まず、自家用車で遺体を搬送すること自体は違法ではありません。日本の法律において、遺体搬送は「貨物運送」には該当しますが、自家用車を用いて金銭の受け取りなどの“事業”として行わない限り、大きな問題にはならないとされています。つまり、個人の事情でやむを得ず運ぶ場合は許されることが多いのです。

一方で、無許可の業者が金銭を受け取りながら遺体搬送を行うことは違法行為となります。たとえば、タクシーや介護タクシーが料金を受け取って遺体を運ぶのは、運送業法などの法律違反になるリスクがあるので注意が必要です。

また、遺体を運ぶ際は「死亡診断書」「死体検案書」などの書類を必ず携行しましょう。警察の職務質問や交通事故などの予期せぬ事態に遭遇する場合も考え、きちんと書類を所持していることが重要です。

要点をまとめると、遺体搬送を自分で行う場合は「金銭を受け取らない」「必要書類を携帯する」という2点が法的に大きな前提条件となります。これを踏まえ、自宅から葬儀会場まで自家用車で移動させるなどの行為自体は、違法と見なされることはほぼありません。

自家用車で遺体搬送を行うリスクと注意点

自家用車での遺体搬送は法律上許されているケースがあるとはいえ、現実的には多くのリスクや不安材料があります。ここでは、具体的なリスクと注意点を解説します。

遺体の損傷リスクが高いという点は見逃せません。自家用車には、遺体を安定的に固定する専用の装備はありません。そのため、急ブレーキやカーブなどで予想以上の衝撃が加わり、故人の遺体に負担をかけてしまう可能性があります。万一、運搬中に遺体がずれて転倒すると、損傷する危険につながります。

さらに、衛生管理や感染症の観点も大きな問題です。遺体から体液が流出する可能性があり、その流出液には病原体が含まれている場合も考えられます。自宅や斎場に到着した後の清掃作業にも大幅な手間がかかり、必ずしも一般車両での搬送に適しているとはいえません。

特に、遺体の状態によっては腐敗の進行が見られるケースもあります。長時間の移動で温度管理が不十分だと、においや腐敗が進みやすくなるリスクが高まります。これらの点をふまえ、万全の準備をしないままの自家用車搬送は慎重に検討すべきです。

まとめると、自家用車を活用した遺体搬送には衛生面・安全面共にデメリットがあるため、少しでも不安な点があれば専門業者に依頼する方が望ましいといえます。

自家用車で遺体搬送を自分で行う際の車両条件

自分で遺体搬送を行う場合、どのような車を使えばよいのでしょうか。ここでは、車両条件を具体的に確認していきます。

一般的にフルフラットになる車が理想です。ミニバンやワゴン車など、シートアレンジによってフルフラットスペースを確保できるタイプなら、遺体を納めた棺を水平に近い形で置くことができます。床面が傾斜している車種やスポーツカーのようにスペースが限られる車では、衝撃による遺体の傷みを防ぐことが難しくなります。

また、棺を使用することが大切です。寝台車や専門業者であれば担架やストレッチャーを利用しますが、自家用車の場合は簡易的なものを使うしかありません。棺に納めておけば、体液の流出や衝撃のダメージをある程度防ぐことができます。遺体用の防水シートや吸水シートを敷いておくのも重要なポイントです。

なお、搬送時のニオイ対策として、ドライアイスなどの冷却材を使用する方法も考えられます。しかし、一般車両での長時間使用は排気ガスや空調の面でも十分な注意が必要です。特に密閉空間ではドライアイスが気化して二酸化炭素濃度が上昇するリスクもゼロではありません。

フルフラット車・大きめの車両・棺の利用・ドライアイスなどの冷却材の活用といった条件を満たすことで、法的には問題ないとしても、現実的な搬送が可能になるかどうかはじっくりと見極める必要があります。

専門業者を利用したほうが良い理由

自分で遺体を運ぶよりも、専門業者による搬送が推奨される理由を解説します。遺体搬送を「自分で」行うにはリスクも多く、専門知識が欠かせないため、結果的にはプロに任せるほうが安心です。

まず、安全性が大きく異なります。葬儀社や遺体搬送業者は、寝台車など専用の車両を用いて搬送を行います。車内には遺体を固定するベルトや収納設備があり、衝撃に対しても十分に備えています。事故や急ブレーキ時の安全面を考慮すると、一般車両よりも専門車両のほうがはるかにリスクが低いと言えます。

また、衛生管理や感染症対策の面でも安心です。遺体から体液が漏れないように対策を講じており、万が一の場合もスムーズに対応できるノウハウを持っています。消毒や清掃のプロセスも確立されているため、車両や人への二次感染リスクを最小化することが可能です。

さらに、専門知識が求められる『納棺』や『エンゼルケア(エンゼルメイク)』なども、プロのスタッフが適切に実施します。搬送前後の準備や書類のチェックなどもスムーズに進むため、必要な手続きを怠るリスクが減少します。

総合的に見れば、搬送で発生し得るリスクを大幅に下げられるのが専門業者に依頼する最大のメリットです。費用はかかるものの、故人の遺体を安全に搬送することを重視するのであれば、専門の手を借りることを強くおすすめします。

遺体搬送業者に依頼する際の費用とその目安

ここでは実際に業者に搬送を依頼する際の費用面について確認していきます。専門業者の費用の多くは、遺体を運ぶ距離や時間帯によって変動し、料金が比較的細分化されているのが特徴です。

通常、葬儀社に搬送を依頼すると、その料金は葬儀プランに含まれる形となるケースが多いです。一般的な葬儀プランには、病院から自宅や安置所までの搬送費用が一部含まれるため、追加料金が発生しない範囲であれば経済的負担はそれほど大きくありません。

一方で、10km以上など、ある一定の距離を超える場合には追加料金が発生することがほとんどです。また、深夜や早朝の搬送にも割増料金が適用されることがあります。業者によって料金体系はさまざまですので、あらかじめ見積もりを依頼し、不明点を確認しておくのが安心です。

葬儀社によっては、安置所の使用費ドライアイスの使用費などもセットで料金が設定されている場合があります。ご家族としては少しでも出費を抑えたいという気持ちはあるかもしれませんが、トータルで見たときに自家用車での搬送にかかるリスク・手間・ストレスを考慮すると、専門業者に依頼する価値は十分にあるでしょう。

病院で亡くなった場合の遺体搬送の流れ

故人が病院で亡くなった場合に、多くの方が経験する搬送プロセスを整理してみましょう。自分で運ぶか、葬儀社に依頼するかの判断材料としても役立ちます。

まず、医師による死亡確認と同時に、病院側でエンゼルケアが行われることが一般的です。エンゼルケアは、医療スタッフが遺体の清拭や死化粧を施し、必要に応じて着替えを行う大切な儀式です。

次に、死亡診断書もしくは死体検案書を受け取ります。この書類は役所に死亡届を提出し、火葬許可証を取得する際にも必須となるため、必ず忘れずに受け取ってください。

その後、搬送車の手配に移ります。多くは病院が提携している葬儀社に連絡をし、寝台車を用意してもらいます。もし自分で運ぶ場合でも、病院に相談したうえで自家用車での搬送が可能かどうかを確認しましょう。

最後に、搬送先を選びます。自宅へ安置するか、もしくは葬儀社や火葬場の安置室を利用するかなど、状況によって異なります。遠方での葬儀を予定している場合は、遺体搬送にかかる距離や時間も考慮しなければなりません。

これら一連の流れをスムーズに進めるためには、病院や葬儀社との連携が欠かせません。アドバイスを受けつつ、自分たちにとって最良の選択を行いましょう。

遺体搬送のために準備しておきたいアイテム

遺体搬送を自分で行うにしても、業者に依頼するにしても、事前に用意しておくと良いアイテムがあります。ここでは、ご家族が把握しておくべき準備物を整理します。

書類関連

もっとも重要なのが、死亡診断書もしくは死体検案書です。これらは搬送中に提示を求められる場合があるほか、火葬許可証や埋葬許可証を取得するために必須の書類となります。必ず原本を受け取り、厳重に保管してください。

車両関連

自家用車を使うなら、フルフラット対応の車ワゴンタイプが望ましいです。また、棺を含めて車内でどれだけのスペースが確保できるかもチェックしましょう。スポーツカーやセダンタイプの場合、後部座席だけではスペースが足りず、遺体の安置が難しくなる可能性があります。

衛生関連

墓地や民間の安置所へ行くまで長時間かかる場合は、防水シートドライアイスなどの冷却材を用意します。体液の流出や腐敗の進行を緩和するために、車両に敷くシートや吸水パッドを持参すると良いでしょう。

その他

遺体は一人では運べません。複数名での対応を準備してください。遺体を車へ乗せ降ろしする際に、家族だけでは対応が大変なことも多く、体力的・精神的負担が大きくなります。誰をサポートメンバーにするか事前に話し合っておくとスムーズです。

自分で搬送する前に知っておくべき実務的な流れ

ご遺体を自家用車で搬送する決断をした場合、そのプロセスを具体的にイメージできているでしょうか。ここでは大まかな流れをまとめます。

まず、死亡診断書の取得といった必須書類の準備を行います。

次に、搬送ルートの確認が必要です。走行距離や道路状況、途中で立ち寄る必要がある施設(買い物などが必要な場合)を考慮したうえで、なるべくスムーズに到着できるルートを選定します。途中でアクシデントが起きても、落ち着いて対処できるように段取りをしっかりと固めましょう。

そして、棺の用意です。インターネット通販や一部の葬儀社から購入できることがありますが、サイズや納期を考慮して早めの手配を心がけましょう。

最後に、実際にご遺体を車へ移乗します。ここがもっとも神経を使う場面であり、かつ身体的な負荷も大きい作業です。ご家族や関係者で声をかけ合い、安全に搬送できるよう注意深く進めてください。

このように、自分での遺体搬送は想像以上に多くの段取りと準備を要します。「自分の手で最後まで見送りをしたい」という思いと同時に、負担の大きさも十分に理解したうえで取り組むことが望まれます。

遺体搬送を自分で行うかどうか迷った際の判断ポイント

遺体搬送を自分で行うか専門業者に任せるか、迷う方は多いでしょう。その際のチェックポイントを挙げてみます。

まず、車両の準備が整っているかどうかが最初のポイントです。フルフラットになる車や棺のサイズに合うスペースを確保できるか、十分検討しましょう。

次に、身体的・精神的負担を考慮します。葬儀の準備はただでさえ大変な作業です。ご遺体の移乗や運転を自分たちだけで行うことで、疲労が蓄積し必要な手続きまで手が回らなくなる可能性もあります。

また、経済的な側面も大切です。業者へ依頼する費用がある程度必要にはなりますが、リスクや手間を低減できるメリットも大きいのが事実です。自家用車を使った場合のガソリン代、高速道路料金、棺や衛生用品の購入費用など、トータルで注意深く見極めましょう。

最後に、心情的な側面も無視できません。故人との最期の時間を自らの手で大切にしたいという思いは尊いものです。その一方で、ご家族の心身の状態にも配慮しなければなりません。悩んだときは、複数の葬儀社や搬送業者に相談し、意見を聞いて比較検討するのが賢明な方法です。

まとめ

遺体搬送を自分でするか専門業者に依頼するか、迷われる方は多いでしょう。本記事では、その判断材料となる法律知識、リスク、メリット・デメリットを整理しました。

  • 法律上、自家用車で遺体を運ぶこと自体は違法ではない
  • 衛生面・安全面を考慮すると専門業者に依頼するのが望ましい場合が多い
  • フルフラット車両や棺の準備など、十分な設備や書類を整える必要がある
  • 搬送費用は葬儀プランに含まれるケースが多いが、追加料金には注意

自分で遺体搬送を行う場合にも、あるいは業者に依頼する場合でも、まずは情報をしっかりと集め、どちらが故人とご家族にとってより良い選択なのかを考えてみてください。必要に応じて複数の葬儀社へ見積もりや相談を行い、安心してお見送りができる体制を整えておきましょう。



監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)

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