浄土真宗の戒名の特徴|他宗派との違いから費用まで

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2025/04/01
浄土真宗の戒名の特徴|他宗派との違いから費用まで

浄土真宗では、他の仏教宗派でよく聞かれる「戒名(かいみょう)」という言葉を用いず、「法名(ほうみょう)」と呼びます。これは「仏弟子としての名前」を意味する重要なものです。ここでは、浄土真宗の法名の特徴から他宗派との違い、戒名(法名)の費用までを詳しく解説していきます。

浄土真宗の戒名(法名)とは何か

ここでは、浄土真宗で用いられる戒名(法名)の基本的な意味や由来について簡単に触れていきます。まずは「そもそも浄土真宗ではなぜ戒名を法名と呼ぶのか」を押さえてから、具体的なポイントを理解しましょう。

浄土真宗では、「阿弥陀如来による救済」を強調する教えが説かれています。他宗派では「修行を通じて戒律を守り、位階を得る」という考え方がみられますが、浄土真宗は「仏を信じることによってのみ救いにあずかる」という念仏宗の思想が根本にあります。そのため、他宗派で使われる「戒名」という表現ではなく阿弥陀如来の力(「法」)によっていただく名前との意味で「法名」という言葉が使われているのです。

また、他宗派では修行の段階や寺院への貢献度などで位号が変わる場合もありますが、浄土真宗ではそれをほとんど行いません。これは「仏前ではすべての人が平等である」という考えを具体的に示すためでもあります。

他宗派との違い:浄土真宗で「戒名」と言わず「法名」と呼ぶ理由

このセクションでは、浄土真宗の法名が他宗派の戒名とどのように異なるのか、具体的な違いに焦点を当てます。宗派ごとの思想の背景を知ると、戒名(法名)の位置づけがより明確になるでしょう。

他宗派の多くは「仏弟子としての誓い」を象徴する戒名を授けます。たとえば禅宗系の宗派では修行による自己の高め方を重視し、真言宗や天台宗でも故人の社会的貢献度や性別などによって異なる「位号」が存在します。位号は戒名の一番下に付きます。

一方の浄土真宗では、「自力ではなく、阿弥陀如来の本願によって救われる」教えを中心に据えています。修行や功績を積んでいくという考え方よりも、阿弥陀仏を信じ念仏を唱えることで往生を願うことが大切だとされるため、修行の段階を示す位号は設けません。結果として、他の宗派と比べて戒名(法名)の構造がシンプルになっているのが特徴です。

さらに、浄土真宗では「釋(しゃく)」という字を用いる点が大きなポイントです。これは「お釈迦様の弟子である」ということを示す記号的な意味合いがあります。伝統的には、男性には「釋○○」、女性には「釋尼○○」が授けられてきましたが、近年では性別を問わず「釋○○」のみを用いることが増えています。

浄土真宗の戒名(法名)の構成要素:釋・院号・位号の有無

ここでは、浄土真宗の戒名(法名)の具体的な構成を見ていきます。男性・女性・子どものそれぞれにどのような違いがあるのかを含めながら、詳しく解説します。

浄土真宗の法名の基本形は「釋(しゃく)」+「法名(2文字ほど)」です。これが最もシンプルな形になります。もし、寺院などに貢献のあった方や、特別な尊称を受ける場合には「院号」などが加わる場合があります。その例が、「院号(3文字程度)」+「釋」+「法名(2文字)」という形式です。たとえば「○○院釋○○」などです。

ただし、浄土真宗では位号は用いません。位号とは「信士」「信女」「居士」「大姉」などを指し、他宗派では修行の度合いや人格的な評価ぐあいなどからさまざまな位号をつけます。浄土真宗では平等の理念から、そうした差を戒名(法名)にほとんど盛り込まないのが一般的です。

「釋(しゃく)」の意味

「釋(しゃく)」はお釈迦様を意味する「釋迦」の「釋」から取られており、「お釈迦様の弟子となる」という表明です。伝統的には男性には「釋○○」、女性の場合は「釋尼○○」が与えられていましたが、近年は性別を問わず「釋○○」を使用するケースも増えています。

院号が付与されるケース

功労のあった方への称号として「院号」が付与される場合があります。院号は、本来は高僧や寺院に大きな貢献をした人に与えられるもので、俗名に対する尊称としての性格が強いといわれます。

浄土真宗の戒名(法名)の授かり方:生前の帰敬式とは

ここでは、浄土真宗の独特な儀式である「帰敬式(ききょうしき)」と、葬儀時に法名を授与される場合の流れを整理していきます。事前に知っておくと、いざという時に慌てず済むでしょう。

浄土真宗には、生前に法名(戒名)を授かる「帰敬式」という儀式が存在します。これは「仏弟子となることを正式に表明するための式」で、教義やお勤めを学んだうえで寺院で受けることが一般的です。帰敬式の後、正式に「法名」を名乗ることができます。

浄土真宗では、法名は本来生前に帰敬式を行って与えられるものです。生前に帰敬式を行わなかった場合は、葬儀の場で僧侶から法名を授与されるのが通例です。浄土真宗の葬儀では、遺族が僧侶に依頼し、故人が仏弟子として阿弥陀如来に帰依することを祈念します。その際に改めて「釋○○」という法名が授けられ、寺院によっては葬儀後の法要の席で法名を唱えながら故人を弔います。

帰敬式や葬儀で法名を授与するにあたっては、地域や寺院ごとの細かな違いがあるため、事前に菩提寺や葬儀を依頼する寺院に確認することが大切です。たとえば、特定の本山に所属している場合や、親族代々檀家となっている寺院がある場合は、そこでの慣習に従う形で進めることが多くみられます。

男女や子どもの戒名(法名)の違い:性別を超えた「平等」の考え

ここでは、浄土真宗の法名が性別や年齢においてどのように違うのかを具体的にみていきます。伝統的なスタイルと現代の傾向、両方を理解しておきましょう。

かつては男性は「釋○○」、女性は「釋尼○○」という形で区別がはっきりしていました。しかし、近年では男女平等の観点から「釋○○」に統一するお寺のほうが増加傾向にあります。これは僧侶側の意識変革だけでなく、依頼する側の考え方や家族構成の変化なども影響しています。

子どもの場合も同様に「釋○○」や「釋尼○○」とされることが一般的でしたが、今回ご紹介したように男女平等を重視する流れの中で、性別や年齢にかかわらず同じ形式を用いるケースも珍しくありません。また、他宗派では子ども向けの特別な位号をつけることもありますが、浄土真宗ではそれを行わないので覚えておきましょう。

浄土真宗の戒名(法名)の費用:相場と仕組み

次に、気になる費用相場と支払いの仕組みについてお話します。費用面の悩みは多くの方が抱える問題なので、しっかり把握しておくと安心です。

一般的に、浄土真宗で帰敬式を行って生前に法名授与を受ける費用は1万円程度が目安といわれています。具体的には以下のようなケースが見受けられます。

  • 浄土真宗大谷派:成人1万円、未成年5,000円
  • 浄土真宗本願寺派:成人1万円、未成年5,000円
  • 浄土真宗興正派:年齢問わず1万円

ただし、これはあくまで生前に法名を受ける場合の一般的な相場です。個別のお寺での寄付金額や御布施の算定基準は、各寺院や地域の慣行によって異なります。葬儀の際に法名を授かる場合は、葬儀の費用に含まれたり、法名料として別途包むケースも存在します。そのため、事前に寺院と相談し、納得できる形で進めるのが望ましいでしょう。

また、「院号」をつける場合に追加の費用が発生することがあります。院号は「特別な称号」と見なされるため、より高額になる可能性がありますが、それでも他宗派の派手な位号ほどではないケースが多いようです。

浄土真宗の戒名(法名)と他宗派の比較:位号や戒律観の違い

ここでは、浄土真宗の戒名(法名)と他宗派の戒名を比較しながら、それぞれの特徴や背景にある仏教観を確認してみましょう。

たとえば、真言宗や天台宗などでは密教の教えを反映し、位号に独特の言葉(「梵字」)が含まれることがあります。日蓮宗では位牌を作る際に「妙法」の文字を冠文字として戒名の上につけることが多く、「法華経」を信じる証として位置づけられます。

一方、浄土真宗はあくまで「阿弥陀如来の本願を信じること」を大切にしています。自力によらず他力に帰依するという点は、先述した通り「法名」の呼び方にも表れています。さらに、戒律を厳密に守ることを重視しないため、「戒名」という呼称ではなく「法名」と言うのです。

また、地方によっては特定の宗派が主流の地域が存在するため、どの宗派に属しているかは家系や菩提寺によって異なります。宗派の仕組み自体がわからないままに戒名を依頼すると混乱することもあるため、「自分の家が所属する宗派はどこなのか」をまずは確認しましょう。

浄土真宗の戒名(法名)と葬儀の流れ:実務的なポイント

最後に、浄土真宗の葬儀における戒名(法名)の流れや注意点を、実務的な観点からまとめてみます。いざ葬儀を執り行うとなった時、何から準備すればよいのか知っておくと安心です。

まず、ご家族で話し合う際には、故人が生前に帰敬式を受けていたかどうかを確認します。既に生前に帰敬式を受けていた場合は、法名がすでに決まっているので、それを葬儀の際に使用します。受けていなければ、葬儀時に新たに法名を頂く形です。

葬儀を依頼する際、菩提寺や僧侶との打ち合わせを行います。打ち合わせの際に、「院号をつけたいか」「伝統的な男女の表記を使うか、それとも性別を問わず「釋○○」を希望するか」などを具体的に希望として伝えましょう。もし迷いがあれば僧侶や葬儀社からアドバイスをもらいつつ決めるのが通例です。

費用面では葬儀一式のなかに法名料が含まれる場合もあれば、別途包む場合もあります。どちらの形式であっても、あらかじめお寺側と相談して納得のいく金額を用意することが重要です。地方や寺院によって慣習が異なるため、一概に高い・安いの判断は難しいです。

葬儀の席では法名を授与とともに、読経・焼香などが行われます。葬儀後の初七日や四十九日といった法要でも、法名に対してお祈りを捧げる形となりますので、「故人の仏弟子としての名前」として皆が認識できるようにしておくとよいでしょう。

まとめ

ここまで、浄土真宗の戒名(法名)に関する基本的な知識から他宗派との違い、費用相場、そして葬儀の流れにいたるまでを詳しく解説してきました。浄土真宗の法名は、平等の考え方と阿弥陀如来への帰依が強調されており、他宗派の「戒名」とは本質的に異なるものです。

  1. 浄土真宗では戒名を「法名」と呼び、釋(しゃく)という字を使う
  2. 院号などは特別な場合に付与されるが、基本は「釋○○」のシンプルな構成
  3. 男女平等の観点から、女性にも「釋」を使うケースが増えている
  4. 生前に帰敬式を受けると法名が先に決まるが、葬儀時にも授与されることが多い
  5. 帰敬式の費用はおおむね1万円前後(成人)。院号をつける場合は追加の費用もあり
  6. 他宗派の戒名と比較して、修行歴や貢献度を示す位号は用いない

もし近いうちに葬儀を執り行う可能性があるのであれば、菩提寺や信頼できる寺院に問い合わせるなどして、浄土真宗の戒名(法名)の正しい手順や費用について具体的に確認してください。納得のいく形で法名を受け取ることで、故人をより深く追悼できるでしょう。また、親族間の話し合いを早めに行い、どのように法名を付与するか決めておくことも大切です。



監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)

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