追悼アカウントとは?故人のSNSの管理方法を解説

身近な方が亡くなったとき、SNSアカウントをどう扱うのか悩む方は多いです。近年はSNSが日常生活に浸透しているため、故人のSNSの扱いを考えることは避けられません。この記事では、キーワードである「追悼アカウント」を中心に、主要なSNSでの管理方法や注意点について詳しく解説します。
追悼アカウントの基本概念を理解しよう
ここでは、追悼アカウントがどのようなものなのか、さらにその背景にある社会的ニーズを紹介します。追悼アカウントを正しく理解することで、故人を偲ぶための最適な選択をすることができます。
追悼アカウントの定義と目的
「追悼アカウント」とは、故人のSNSアカウントを特別な形で残し、思い出を共有するために設けられた仕組みのことです。多くの場合、生前の投稿は残るものの、新たに投稿ができなくなったり、コメント機能に制限がかかったりすることで、アカウント本来の目的が「故人を偲ぶ場」へと切り替わります。
追悼アカウントの主な目的は、故人を大切に思う家族や友人たちが、その人生を振り返ったり思い出を語り合ったりできるようにする点です。SNSの急速な普及と共に、死後もインターネット上で故人の人柄や思い出を残しておきたいというニーズが増えています。
現代社会におけるニーズ
インターネット環境が生活の一部となった現代、SNSは多くの人が日常的に利用するコミュニケーションツールです。たとえ故人であっても、写真やメッセージは大切な思い出の宝庫です。そこで、追悼アカウントという形で継続的に公開・共有し続けたいという思いが高まっています。
一方で、SNS運営会社としては、本人なきあとの不正使用やプライバシー侵害を防止する必要があるため、一律に扱うのは難しいのも事実です。そこで、SNSごとに独自の方針が整備され、追悼アカウントの仕組みやアカウント削除の手続きが整えられています。
主要SNSでの追悼アカウントの扱いをチェック
主要なSNSごとに、追悼アカウントの仕組みや手続き方法は異なります。以下では、FacebookやInstagramをはじめ、Twitter、LINEなどの特徴を詳しく見ていきましょう。
Facebookの追悼アカウント
Facebookでは、故人のアカウントを「追悼アカウント」に切り替えることが可能です。申請を行うのは遺族や親しい友人が中心で、必要書類をFacebookに提出して手続きを進めます。主な流れは以下のとおりです。
- 故人のFacebook上のプロフィールurl、亡くなった日付を確認し、死亡証明書など亡くなったことを証明できる書類のコピーを用意する
- Facebookの公式ページから追悼アカウント化の申請フォームにアクセス
- 要求された情報を入力し、必要書類をアップロードする
追悼アカウントへ移行すると、故人のプロフィールの名前の横に「追悼」という表示がついたり、第三者がそのアカウントへ新たな投稿を行うことが制限されたりします。また、アカウントの所有者は生前に「追悼アカウント管理人」を指定することができます。追悼アカウントに移行すると、追悼アカウント管理人だけがプロフィール写真やカバー写真を変更できるなど限定的な管理が可能になります。ただし直接アカウントにログインすることはできません。
Facebookの方針では、「アカウント削除」の申請も認められています。故人が生前に自分が亡くなった場合、アカウントを削除するように設定することが可能です。故人が生前に削除の意思を明示していなかった場合でも、遺族が必要書類を提出すれば削除申請が許可されることがあります。どちらを選ぶかは、故人の希望や家族の意向を尊重しながら判断することが重要です。
Instagramの追悼アカウント
Instagramにおいても、Facebook同様「追悼アカウント」に移行するシステムがあります。流れはFacebookに近しく、以下の手順で進めます。
- Instagramの公式問い合わせフォームから申請を行う
- 死亡証明書や逝去日の情報などを提出する
- 審査を経て認められると追悼アカウントとして運用される
一度追悼アカウントになると、誰もそのアカウントにログインして投稿を行うことはできません。閲覧範囲については、故人が生前に設定していた公開範囲が維持されるケースが多いですが、申請内容によってはアカウントが非公開設定になることもあります。Instagramの場合も削除を選択できるため、故人が希望していた形かどうか、家族で確認し合うことが大切です。
FacebookとInstagramは同じ会社(Meta)によって運営されているため、両SNSの追悼アカウントに関する規定や手続きには共通点が多いのが特徴です。ただしInstagramの場合、Facebookとは異なり追悼アカウント管理人の設定はできません。
X(旧Twitter)の取り扱い
X(旧Twitter)には「追悼アカウント」に相当する制度が用意されていません。アカウントの削除を申請する仕組みのみが存在し、以下の手順で続けます。
- X(旧Twitter)のサポートページから故人のアカウントの削除を依頼する
- X(旧Twitter)からアカウントを削除するための手順を記載したメールが送られてくる
- 必要書類(死亡証明書や申請者の身分証明書のコピー)を提出する
- 確認後、アカウントが削除される
手続きの多くは英語で行う必要があり、日本語だけでは処理がスムーズに進まない可能性があります。親族が翻訳ツールや英語に堪能な協力者のサポートを受けるなどして、適切にコミュニケーションを進めることが大切です。なお、Twitter側は故人のアカウントを削除するのみで、追悼のために保存しておく公式的な手段はありません。
LINEの取り扱い
LINEは、原則として「一身専属性」という考え方を採用しており、追悼アカウントのようなサービスは存在しません。生前に利用していたアカウントは本人のみがログイン管理できる仕組みで、近親者であっても故人のアカウントを引き継ぐことはできません。
ただし、遺族が要望すればアカウント削除の申請は可能です。手続きはLINE公式サイトの問い合わせフォームを利用し、故人の死亡を証明する書類や申請者が近親者であることを示す書類を提出します。
追悼アカウントのメリット・デメリットを確認
追悼アカウントを利用するかどうかで迷う方のために、ここでは主なメリットとデメリットを紹介します。満足のいく選択をするためには、それぞれの特徴を理解し、故人やご遺族の価値観を考慮することが大切です。
メリット
- 故人の思い出がSNS上で継続的に残る
- 不正ログインやアカウントの乗っ取りリスクが減る
- 追悼目的で集まった人々が、安心して投稿や閲覧ができる
デメリット
- 各SNSの手続きや書類提出に時間がかかる
- 新規投稿や編集が制限されるため、内容の更新ができない
メリット・デメリットを比較することで、実際に追悼アカウントに移行するか判断しやすくなります。故人の意向がわかっている場合はそれを尊重し、わからない場合は家族や友人を交えて慎重に決定することが必要です。
追悼アカウントを活用するための手続きと準備
追悼アカウントを有効活用するには、各SNSが定める手続きや必要書類を整えるだけでなく、事前の話し合いや準備が重要です。ここでは具体的な流れを解説します。
申請の流れを把握する
FacebookやInstagramの場合、公式サイトやアプリ内の「ヘルプ」などから申請フォームへアクセスします。提出する書類には、以下のようなものがあります。
- 死亡証明書などの死亡を証明できる書類
- 申請者の身分を証明する書類
TwitterやLINEでは追悼アカウントではなく「削除」の申請を行うため、利用目的や申請フォームが異なります。手続きの詳細は常に運営会社の最新情報を確認することが大切です。
生前の意思確認
故人が生前に「亡くなったあとのアカウントをどうしたいか」をはっきり伝えていた場合は、その意思を最優先に考えます。たとえば「プロフィールだけは残してほしい」「すべて削除してほしい」など、個人の希望が具体的に分かっていると、手続きがスムーズです。
Facebookでは、アカウントの所有者が、自分が亡くなった場合にアカウントを削除するように生前に設定することが可能ですが、その他のSNSにはそのようなサービスはありません。
本人の意思が不明な場合、家族や友人間で話し合い、故人の価値観を推測して選択を行うのが望ましいでしょう。
管理人の指定
Facebookでは生前に追悼アカウント管理人を指定しておくことで、追悼アカウントへの移行後も一部の設定を管理人が調整できるようになります。できれば生前のうちに、誰を追悼アカウント管理人にしているか家族や友人と共有しておくと安心です。
ただし、管理人であっても故人のパスワードを使って自分がログインするわけではありません。あくまで一部の設定変更やコメント管理などが可能になるだけなので、何ができるか事前にしっかり確認しておきましょう。
トラブルを避けるための注意点
追悼アカウントに移行するときや、故人のSNSを削除するときには、さまざまなトラブルが起こり得ます。以下のようなポイントを押さえておくことで、余計な問題を未然に防ぐことができます。
1. 不正ログインや情報流出に注意
故人のアカウント情報を使って勝手にログインする行為は規約違反であるうえ、プライバシーやセキュリティ上のリスクを伴います。追悼アカウントに移行すれば第三者の正規ログインは制限されるため、乗っ取り被害を抑えられます。万が一パスワードを知っていても、利用規約に反しないよう注意しましょう。
2. 書類不備や手続きミス
SNSへ提出する書類に不備があると、手続きが遅れたり認められなかったりする可能性があります。提出前に必要事項を漏れなく記入しているか、押印が必要なら忘れていないか、書類の有効期限は切れていないかなど確認しましょう。
3. 誰が申請を行うか
追悼アカウントやアカウント削除の申請権限は、SNSによって異なります。近親者しかできない場合や、故人が生前に設定した管理人しかできない場合があるので、事前に確認しておくことが得策です。また、兄弟や親戚同士で意見が対立すると手続きが進まないおそれもありますので、可能な限り話し合いのうえで申請者を決めるようにしましょう。
4. トラブル時の問い合わせ先
申請後に何らかの問題が起きたり、SNSの運営元から追加書類の請求があったりした場合は、速やかにサポートチームへ問い合わせましょう。英語での対応を求められるケースがあるため、翻訳ツールやサポート用のメールテンプレートを準備しておくとスムーズです。
まとめ
ここまで、追悼アカウントの基本から主要SNSでの手続きの流れ、メリットやリスクなどを解説してきました。故人のSNSをどう扱うかは、とても個人的で大切な問題です。
- 主要SNS(Facebook、Instagram)は追悼アカウントの設定が可能
- TwitterやLINEでは追悼アカウント制度はなく、削除対応が中心
- 追悼アカウントへの移行には書類の提出など事前準備が必要
まずは故人やご家族・友人の意向を大切にしながら、適切な方法を選びましょう。必要な手続きや手順については、各SNSの公式ヘルプセンターで最新情報を確認することをおすすめします。

監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)
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