葬祭扶助は生活保護以外でも受給できる?|費用がないときの支援制度と申請方法を解説

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2025/05/16
葬祭扶助は生活保護以外でも受給できる?|費用がないときの支援制度と申請方法を解説

大切な方が亡くなった時、悲しみに暮れる中で葬儀費用の工面に頭を悩ませることは、さらなる負担となります。「葬儀費用が準備できない」「生活に余裕がない」という状況でも、実は公的な支援制度を利用できる可能性があります。葬祭扶助は生活保護制度の一部ですが、実は生活保護を受けていない方でも、経済的に困窮している場合には単独で申請できます。この記事では、葬祭扶助の対象者や申請方法、給付額など、経済的に厳しい状況での葬儀実施に役立つ情報をわかりやすく解説します。

葬祭扶助とは?生活保護以外でも利用できる公的支援制度

葬祭扶助は、経済的に困窮している方が最低限の葬儀を行えるよう支援する公的制度です。多くの方が「生活保護を受けている人だけが対象」と誤解していますが、実はそうではありません。

葬祭扶助の定義と法的根拠

葬祭扶助は生活保護法第18条に基づく制度で、葬儀に必要な最低限の費用を公的に補助するものです。具体的には、検案・遺体の運搬・火葬・埋葬・納骨などの費用が対象となります。この制度は、経済的な理由で葬儀ができない状況を防ぐための重要なセーフティネットです。

生活保護以外でも単独申請可能な「単給」の仕組み

葬祭扶助は生活保護制度の8種類ある扶助の一つですが、他の扶助と違って「単給」が可能です。単給とは、生活保護全体ではなく葬祭扶助のみを単独で受給できる仕組みのことです。つまり、普段は生活保護を受けていなくても、葬儀費用の支払いが困難な場合には申請することができます。

葬祭扶助で実施できる葬儀の特徴

葬祭扶助で行える葬儀は、一般的に火葬を中心としたシンプルな形式(いわゆる「直葬」)が想定されています。宗教的な儀式や豪華な設備などは基本的に含まれず、必要最低限の尊厳ある見送りを可能にするものです。ただし、地域の慣習や自治体の判断によって、実際に認められる内容には差があります。

葬祭扶助を申請できる対象者

葬祭扶助は経済的に困窮している方のための制度ですが、申請できる人は大きく分けて二つのケースがあります。

遺族(喪主等)が申請する場合

亡くなった方の親族が葬儀を行う際、その親族自身が経済的に困窮している場合に申請できます。ここで重要なのは、申請者自身の経済状況が判断基準となる点です。たとえ故人が生前に生活保護を受けていなかったとしても、葬儀を執り行う親族が経済的に困窮していれば対象となります。

ただし、申請者以外の親族に経済的余裕がある場合は、自治体からその親族に費用負担を求められる可能性があります。これは「扶養義務」の考え方に基づくものです。

第三者(民生委員・病院・施設長など)が申請する場合

故人に扶養義務者がいない、または扶養義務者が葬儀を行わない場合、第三者が葬儀を行うことがあります。この場合も、亡くなった方の遺留金品だけでは葬儀費用が不足する場合には、葬祭扶助の基準額以内で申請することができます。

扶養義務者とは、配偶者、直系血族(親・子・祖父母・孫など)、兄弟姉妹、および家庭裁判所から扶養を命じられた3親等内の親族などを指します。

扶養義務と葬儀責任の関係性

法的に見ると、同居していない扶養義務者に「必ず葬儀を行う義務」があるわけではありません。親族が葬儀の実施を拒否しても、それ自体は違法とはなりません。このような場合、最終的には故人の住所地の自治体が責任をもって火葬等を行うことになります。

このように、生活保護を受けていなくても、葬儀費用を捻出できない状況に陥った場合には、葬祭扶助を検討する価値があります。

葬祭扶助の給付金額

葬祭扶助で支給される金額は、生活保護受給者であるかどうかに関わらず同じ基準で計算されます。

年齢別の基準額

葬祭扶助の基準額は、亡くなった方の年齢によって以下のように設定されています:

  • 亡くなった方が12歳以上:20万6,000円以内
  • 亡くなった方が12歳未満:16万4,000円以内

これらの金額は厚生労働省の通知に基づいています。ただし、実際の上限額は各自治体が独自に設定している場合があるため、お住まいの地域の福祉事務所や市区町村役所で確認することをお勧めします。

実際の支給方法と金額

葬祭扶助では、自治体が定める上限金額を超えない範囲で、実際にかかった葬儀費用が支給されます。つまり、上限額いっぱいが自動的に支給されるわけではなく、実費精算の考え方が基本となります。

また、支給金の流れとしては、申請者(喪主など)を通さず、直接葬儀社へ支払われるケースが一般的です。これは不正受給を防止し、確実に葬儀費用に充てられるようにするための措置です。

対象者区分基準額上限支払先
12歳以上20万6,000円以内主に葬儀社へ直接支払い
12歳未満16万4,000円以内主に葬儀社へ直接支払い

地域差と実際の対応

各自治体によって、葬祭扶助の運用には若干の違いがあります。都市部では上限額いっぱいでも葬儀費用が不足する場合があり、一方で地方では比較的余裕をもって葬儀が行える場合もあります。申請前に、お住まいの地域での実際の支給額や対応可能な葬儀内容について確認しておくと安心です。

葬祭扶助の対象となる費用

葬祭扶助では、葬儀に必要な基本的な費用が対象となりますが、宗教的な費用など一部は対象外です。受給資格の有無にかかわらず、対象範囲は同じです。

葬祭扶助に含まれる費用項目

葬祭扶助で賄える基本的な費用項目は以下の通りです:

  • 布団・仏衣(故人が着用する衣服)
  • 枕花(お別れ用の花束)
  • ドライアイス
  • 寝台車・霊柩車使用料
  • 安置施設使用料
  • 火葬費用
  • 骨壷・骨箱
  • 自宅飾り
  • 白木位牌

これらの項目は一般的な目安であり、実際の適用範囲は自治体によって異なることがあります。申請前に確認することをお勧めします。

納骨費用の扱いについて

法律上、葬祭扶助には「納骨」も含まれるとされていますが、この場合の納骨は、火葬後に遺骨を拾骨し、骨壺に収めるまでの作業を指します。墓地や霊園への埋葬費用、永代使用料などは基本的に扶助対象外となります。

ただし、地域によっては納骨堂の一時利用料などが認められる場合もありますので、詳細は各自治体に確認してください。

葬祭扶助に含まれない費用

以下の費用項目は一般的に葬祭扶助の対象外となります:

  • 戒名料
  • 読経料・お布施など宗教上の費用
  • 供花
  • 花輪
  • 香典返し
  • 通夜・葬儀の会食費
  • 墓石代
  • 墓地・霊園の永代使用料

これらの費用については、別途準備するか、最小限の葬儀プランを選ぶことで対応する必要があります。生活保護以外の方でも、葬祭扶助を利用する場合は同じ基準が適用されるため、事前に葬儀社とよく相談しておくことが重要です。

葬祭扶助でも香典は受け取れる

葬祭扶助を受けていても、香典の受け取りについては特に制限はありません。生活保護受給者であっても、そうでない方であっても同様です。

香典受け取りに関する誤解

「公的な扶助を受けているから香典は受け取れない」という誤解が広がっていることがありますが、これは事実ではありません。葬祭扶助を受けていても、香典は通常通り受け取ることができます。香典は故人への弔意を表すものであり、葬儀費用の援助とは別の性質を持つものだからです。

香典と税金の関係

香典に関しては、一般的に贈与税や相続税は課されません。税法上、香典は「社会通念上相当と認められる範囲内」であれば非課税とされています。ただし、極端に高額な場合は課税対象となる可能性もあるため、心配な場合は専門家に相談するとよいでしょう。

香典の使途について

受け取った香典の使い道については特に制限はありません。葬儀後の法要費用や墓石、納骨にかかる費用など、葬祭扶助では賄えない部分に充てることも可能です。また、故人の遺品整理や供養に関連する費用にも使えます。

葬祭扶助を受ける場合でも、親族や友人からの弔意としての香典は、故人を送る大切な気持ちの表れとして、自然に受け取ることができます。これは生活保護受給者でない方が葬祭扶助のみを利用する場合も全く同じです。

葬祭扶助の申請手続き

葬祭扶助を利用するには、適切なタイミングと正しい申請手続きが重要です。生活保護受給者でなくても申請できますが、いくつか注意点があります。

申請のタイミングと事前相談の重要性

葬祭扶助は、原則として火葬等の葬儀を行う前に申請する必要があります。葬儀が終わった後から申請しても、認められないケースが多いため注意が必要です。故人が亡くなったらすぐに自治体に相談することが非常に重要です。

特に、生活保護を受けていない方が葬祭扶助のみを申請する場合は、自治体の担当者に状況を詳しく説明し、申請可能かどうかの判断を仰ぐ必要があります。

申請先と必要書類

申請先は申請者の立場によって異なります:

  • 親族(喪主)が申請する場合:申請者の住所地の市区町村役所や福祉事務所
  • 第三者が申請する場合:亡くなった方の住所地の市区町村役所や福祉事務所

提出が必要な主な書類は以下の通りです:

  1. 葬祭扶助申請書(自治体により様式が異なる)
  2. 死亡診断書または死体検案書(コピー可の場合あり)
  3. 葬儀社の見積書
  4. 申請者の身分証明書
  5. 申請者と故人の関係を証明する書類(戸籍謄本など)
  6. 申請者の収入や資産を証明する書類
  7. 葬儀社に申請を委任する場合は委任状・印鑑

自治体によって必要書類は異なるため、事前に確認することをお勧めします。

葬儀社選びの注意点

葬祭扶助を利用する場合、すべての葬儀社で対応しているわけではありません。葬祭扶助での葬儀に対応している葬儀社を選ぶ必要があります。特に自治体との連携がスムーズな葬儀社を選ぶと手続きがスムーズになります。

葬儀社を決める際には、以下の点を確認しましょう:

  • 葬祭扶助制度に対応しているか
  • 自治体との連携実績があるか
  • 葬祭扶助の基準内で提供可能なプランがあるか
  • 申請手続きのサポートをしてくれるか

依頼先が決まったら、申請書類を早急に準備し、葬儀の前に手続きを完了させることが重要です。生活保護を受けていない方でも、経済的に困窮している状況を適切に説明することで、葬祭扶助を受けられる可能性があります。

葬祭扶助と他の葬儀支援制度の比較

葬祭扶助以外にも、葬儀費用を援助してくれる公的な制度があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った制度を選択することが大切です。

健康保険の埋葬料給付金制度

健康保険や社会保険に加入していた方が亡くなった場合、その葬儀を行った方(喪主)に対して給付される制度です。会社員や公務員など被保険者の死亡に対して給付されるケースが多く、生活保護を受けていなくても申請できる一般的な制度です。

制度名対象者給付額(目安)申請先
健康保険の埋葬料会社員などの被保険者が死亡した場合の喪主5万円程度勤務先または健康保険組合
協会けんぽの埋葬料協会けんぽ加入者が死亡した場合の喪主5万円程度全国健康保険協会の各支部

国民健康保険・後期高齢者医療制度の葬祭費

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合に、その葬儀を行った方に支給される制度です。自営業者や退職者、高齢者などが対象となることが多いです。

制度名対象者給付額(目安)申請先
国民健康保険の葬祭費国保加入者が死亡した場合の喪主5〜7万円程度(自治体により異なる)市区町村の国保担当窓口
後期高齢者医療制度の葬祭費後期高齢者医療制度加入者が死亡した場合の喪主3〜7万円程度(自治体により異なる)市区町村の後期高齢者医療担当窓口

制度の併用可能性と選択のポイント

葬祭扶助と他の制度について、併用が認められるかどうかは自治体の判断によります。一般的には、以下のような選択の流れが考えられます:

  1. まず、健康保険の埋葬料や国民健康保険の葬祭費などの一般的な給付金が受けられるか確認する
  2. それでも葬儀費用が不足する場合、葬祭扶助の申請を検討する
  3. 葬祭扶助を受ける場合、他の給付金は葬祭扶助の算定時に収入として扱われる可能性がある

経済状況に応じて最適な支援を受けるためには、複数の制度を比較検討することが重要です。特に生活保護を受けていない方は、まず健康保険関連の給付金から検討し、それでも不足する場合に葬祭扶助を検討するという段階的なアプローチが一般的です。

葬祭扶助を円滑に受けるためのアドバイス

葬祭扶助を申請する際、特に生活保護を受けていない方が葬儀費用のみの支援を求める場合には、いくつかのポイントを押さえることで手続きがスムーズになります。

死亡直後の早期相談の重要性

葬儀費用の不足が懸念される場合は、死亡が確認されたらすぐに自治体窓口へ相談することが極めて重要です。葬儀前の申請が原則であるため、迅速な行動が申請成功の鍵となります。特に生活保護を受けていない方が葬祭扶助のみを申請する場合は、経済状況の説明や必要書類の準備に時間がかかることがあります。

休日や夜間に死亡が確認された場合でも、多くの自治体では緊急連絡先が設けられています。まずは市区町村の代表電話に連絡し、担当部署への取り次ぎを依頼することをお勧めします。

扶養義務者や相続関係の整理

申請をスムーズに進めるためには、故人の扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹など)の状況や、相続人との関係を事前に整理しておくことが有効です。これにより、自治体からの質問に迅速に回答できるようになります。

特に以下の情報を整理しておくと良いでしょう:

  • 故人と同居していた家族の有無と連絡先
  • 故人の子や親など近親者の連絡先
  • 故人の財産状況(預貯金、不動産など)の概要
  • 故人が加入していた健康保険の種類

葬祭扶助対応に慣れた葬儀社の選択

すべての葬儀社が葬祭扶助に対応しているわけではありません。葬祭扶助の申請経験が豊富な葬儀社を選ぶことで、申請手続きの負担を大きく軽減できます。葬儀社によっては、自治体との調整や必要書類の準備などをサポートしてくれる場合もあります。

生活保護を受けていない方でも、経済的に困窮している状況を適切に説明し、必要な書類を揃えることで、葬祭扶助を受けられる可能性があります。事前の準備と早期の相談が成功への近道です。

まとめ

葬祭扶助は生活保護制度の一部ですが、生活保護を受けていない方でも経済的に困窮している場合には単独で申請できることを解説してきました。

  • 葬祭扶助は経済的理由で葬儀ができない方のための公的支援制度
  • 生活保護受給者だけでなく、葬儀費用が捻出できない場合は単独申請(単給)が可能
  • 12歳以上の場合、最大20万6,000円程度の支援が受けられる
  • 申請は葬儀前に行う必要があり、死亡後すぐの相談が重要
  • 健康保険の埋葬料など他の公的支援制度も検討する価値がある
  • 葬祭扶助対応に慣れた葬儀社を選ぶと手続きがスムーズになる

葬儀費用の工面に悩んだときは、一人で抱え込まず、まずはお住まいの自治体の福祉担当窓口に相談してみてください。状況を正確に伝え、適切な支援を受けることで、大切な方を尊厳をもって送ることができます。



監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)

家族葬のセレモニーハウスは、神奈川県、東京都、北海道(札幌市)で、心のこもった家族葬をご納得いただける価格でご提供している家族葬専門の葬儀社です。
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