香典の金額相場と渡し方のマナー ~告別式での冠婚葬祭作法
親しい人の訃報を受け、突然の葬儀で香典の準備に戸惑っていませんか?告別式で故人を偲ぶ際、香典の金額や渡し方のマナーを知っておくことは大切です。香典とは本来、お線香代わりに遺族に贈るお金のことを指しますが、現代では故人を偲び、遺族の今後を助ける意味合いが強くなっています。香典の金額は、故人との関係性や自身の年齢によって変わりますが、おおよその相場は把握しておきたいもの。また、香典袋の表書きや水引の色、お札の入れ方など、細かなマナーについても気を付けたいですね。大切な人を亡くし、悲しみに暮れる遺族の心に寄り添えるよう、香典のマナーを踏まえつつ、故人への想いを丁寧に伝えることを心がけましょう。
香典とは何か?基本マナーを確認
香典の意味と目的
「香典」とは、線香や花の代わりに故人の霊前に供える金品のことで、香料とも言います。「香」の字は文字通りお香を意味し、「典」の字はお供えを意味します。お香典は故人の遺族を経済的に助けるという意味があります。また香典は、香典袋(不祝儀袋)に入れてお渡しします。
香典袋(不祝儀袋)の購入場所
香典袋は一般的にコンビニ・文具店・スーパー等でも購入できます。ちなみに、香典袋を熨斗袋(のし袋)と名前を混同しがちですが、熨斗袋は祝儀袋のことですので注意が必要です。
香典を渡すタイミングと持参できなかった場合の対応
香典は、訃報を受けた後、通夜もしくは葬式、告別式に持参し受付で渡します。急な通夜では、香典を持参できないこともあると思います。その場合は、葬儀・告別式でお渡しすれば先方に対して失礼にはなりません。
一番してはいけないのは、香典の額が少なかったからと、改めて追加で香典をお持ちすることです。不幸が重なるという考えからタブーとされています。
香典の金額相場と目安
親族の場合の香典金額相場
故人との関係 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
---|---|---|---|---|---|
祖父母 | 1~2万円 | 2~3万円 | 2~3万円 | 3~5万円 | 3~5万円 |
親 | 5万円 | 5~10万円 | 5~10万円 | 5~10万円 | 10万円 |
兄弟姉妹 | 3~5万円 | 3~5万円 | 3~5万円 | 3~5万円 | 5~10万円 |
おじ・おば | 5千~1万円 | 1~2万円 | 1~2万円 | 2~3万円 | 2~3万円 |
上記以外の親戚 | 5千~1万円 | 5千~1万円 | 1~2万円 | 1~2万円 | 1~2万円 |
※(社)全日本冠婚葬祭互助会「第4回香典に関するアンケート」を参考に作成。
一般的に親族の場合、故人との関係性や付き合い、参列者の年齢によって香典の金額は変わります。両親の場合は30代以上で5万円〜10万円程度、祖父母は2万円〜5万円程度が相場と言えるでしょう。あくまでも統計上の目安ですので、故人との個人的な関係性や一緒に参列する方とのバランスを考慮した上で、適切な金額を決めるのが良いでしょう。
- 入れる金額と不祝儀袋のつりあいも大切です。金額によって、不祝儀袋のランクや種類を選びましょう。
- 三は惨(みじめ)、四は死、九は苦など、一般的に語呂合わせで禁忌とされている数字の金額も避けておく方が無難です。
友人・ご近所の場合の香典金額相場
故人との関係 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
---|---|---|---|---|---|
友人・その家族 | 5千円 | 5千円 | 5千~1万円 | 5千~1万円 | 5千~1万円 |
隣人・近所 | 3千~5千円 | 5千円 | 5千円 | 5千~1万円 | 5千~1万円 |
その他のおつき合い | 3千~5千円 | 5千円 | 5千円 | 5千円 | 5千~1万円 |
※(社)全日本冠婚葬祭互助会「第4回香典に関するアンケート」を参考に作成。
友人やご近所など親族以外の場合、香典の金額相場は年代によって多少の違いはありますが、おおむね5千円〜1万円程度が一般的です。特に親しい間柄の場合は1万円程度包むこともありますが、あまり高額だと返礼の負担になることもあるため、適度な金額に留めることが大切です。
職場・仕事関係の場合の香典金額相場
故人との関係 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
---|---|---|---|---|---|
勤務先の上司・部下 | 5千円 | 5千円 | 5千円 | 5千円 | 5千円 |
勤務先社員の家族 | 5千円 | 5千円 | 5千円 | 5千円 | 5千円 |
取引先関係 | 5千円 | 5千~1万円 | 5千~1万円 | 5千~1万円 | 1万円 |
※(社)全日本冠婚葬祭互助会「第4回香典に関するアンケート」を参考に作成。
職場や仕事関係の方の場合は、基本的に5千円程度の香典で問題ありません。ただし、役職や会社の規模、取引関係などによっては1万円程度包むこともありますので、同僚の方と相談して適切な金額を決めるのが賢明です。
香典の金額決定のポイント
香典の金額を決める際の注意点をまとめました。
- 入れる金額と香典袋(不祝儀袋)のつり合いを考えて、金額に見合った袋を選ぶ
- 三、四、九など、語呂合わせで縁起が悪いとされる数字の金額は避ける
- 新札は好ましくないが、折って入れれば問題ない
- 同僚や親しい方と一緒に参列する場合は金額のバランスを合わせる
- 会葬礼状に「香典辞退」や「ご香典は辞退させていただきます」と記載がある場合は、香典を持参しない
香典の金額は、遺族に対する哀悼の気持ちと共に、金銭的負担にならないよう考慮して決めることが大切です。会葬者との関係性を踏まえて、適切な金額を心を込めてお包みするのがよいでしょう。
香典袋(不祝儀袋)の書き方マナー
香典袋の表書きの種類と宗教による違い
表書きの種類は多岐にわたり、「御霊前」「御香料」「御香典」「御悔」「御榊料」「玉串料」「御花料」「志」など数十類あります。相手の宗教に合わせた適切な表書きを用いる必要があります。
仏教・仏式では、忌明けの四十九日まで「御霊前」、それ以降は「御仏前(御佛前)」と使い分けます。ただし浄土真宗では、死後すぐに成仏するという教えから「御霊前」は使わず「御仏前」を用います。
キリスト教式の場合、カトリックでは「お花料」「御花料」「御ミサ料」、プロテスタントでは「お花料」「御花料」「献花料」「忌慰料」を使用します。プロテスタントでは御霊を偶像崇拝と捉えるため、「御霊前」は不適切です。
神式(神道)では、「御榊料」「玉串料」「御玉串料」「神饌料」「御饌料」「御神前」などが用いられます。
宗派が分からない時の表書き
市販の香典袋の多くは、各宗教共通で使える白無地の袋で、「御霊前」と「御仏前」の表書き、無地で自筆できるものがセットになっています。
宗派が不明な場合、浄土真宗では「御霊前」を用いないため注意が必要です。そのような時は、各宗派に共通して使える「御香料」「御香資」「御香奠」などの表書きが無難でしょう。
香典袋の名前の書き方(個人名、会社名、連名、代理)
香典袋の水引の下に参列者の氏名をフルネームで記載します。会社として参列する場合は中央寄りに役職とフルネーム、右寄りに会社名を書きます。
旧姓で書く場合は、表書きには新姓で氏名を記し、旧姓は名前の左横に括弧書きします。あるいは、中袋の名前欄に旧姓を併記しても問題ありません。
代理で参列する場合は、依頼主の氏名を香典袋に記載します。妻が夫の代理の場合は、夫の名前の左下に小さく「内」と書き添えます。
連名の場合、最大3名程度までとし、4名以上の時は代表者名の左下に「外一同」と記します。詳細は別紙に全員の氏名・住所・金額を記し、内袋に同封します。連名3名の場合は、中央に最年長者、左に他2名の順で名前を書きます。
香典袋へのお札の入れ方と注意点
お札は表裏を揃えて裏向きに、いわゆる「顔を下」にして香典袋に入れます。中袋の有無にかかわらず、開封時にお札の顔が見えないようにするのがマナーです。
弔事では新札を避けるのが一般的ですが、最近は新札でも問題ないとされています。それでも気になる場合は、一折りしてから包むと良いでしょう。
香典の金額は、旧字体の漢数字(壱・弐・参・伍・阡・萬)や、大字(壱・弐・参・伍・拾・仟・萬・圓)を用いるのが正式ですが、略字体でもマナー違反にはなりません。
また、三、四、九など縁起が悪いとされる数字の金額は避け、金額に見合った袋を選ぶことも大切です。新札を折って入れれば問題ありませんし、同僚などと一緒に参列する際は金額のバランスを合わせましょう。
香典の包み方と渡し方
香典を包むふくさの種類と包み方
香典を渡す際は、素手ではなく必ず袱紗(ふくさ)、もしくは布に包んで渡します。ふくさの種類は、大きく分けて、お祝い事用とお悔やみ事用に分けられ、それぞれ色で使い分けます。お悔やみ事の時には、鼠色、紫色、藍色などを用います。紫色は慶弔兼用の色なので、どちらで使っても失礼にはなりません。
香典の包み方は、袱紗の中央からやや右寄りに不祝儀袋の表側を上にして置き、右→下→上→左の順に包み、右側のはみ出した部分を内側に折ります。これは相手の方を思いやる気持ちから、水引の乱れや汚れを防ぐためです。
香典を直接手渡しする場合の渡し方
香典は通夜、葬式、告別式の焼香前に受付で渡すのが一般的です。通夜と葬式・告別式の両方に参列する場合は、どちらか片方でお渡しすれば大丈夫です。
渡し方は、右手のひらにふくさを置いて、左手でふくさを開いて不祝儀袋を取り出します。そして相手の方から名前が読めるように向きを変えて、「この度は突然のことでお悔やみ申し上げます」などの挨拶の言葉を添えて両手で渡します。
通夜・葬儀に参列できない場合の香典の送り方(郵送・訪問)
通夜、葬式、告別式に参列できない場合は、後日、喪主の方のご自宅を訪問するか、喪主宛に郵送で香典を送るのが一般的です。
訪問の場合は、事前に先方にその旨を連絡することを忘れずに。突然の訪問は相手のご迷惑になることがあります。
郵送の場合は、現金書留の封筒の中に香典袋を入れて送りましょう。その際、通夜や葬式に伺えなかった理由や遺族の方々へのお悔やみの言葉を手紙として添えると良いでしょう。香典袋だけが入っているよりも、故人への思いが伝わります。
香典を辞退された場合の対応
最近は香典を辞退されるケースも多くなっています。理由は故人の遺言、会葬者への負担、通夜や葬式の簡略化、お返しの手間など様々です。
そのような場合、会葬礼状に「香典辞退」や「ご香典は辞退させていただきます」などと記載されていることが多いです。ご遺族の気持ちを尊重し、辞退の意向が示されている場合は香典の持参は控えるのが無難でしょう。
香典袋(不祝儀袋)の水引の色の選び方
弔事に適した水引の色と結び方
弔事の香典袋に使う水引の色として最も適切なのは「黒白(白黒)」で、結びは「結び切り」とされています。これは宗教や宗派を問いません。
お通夜・葬儀の際の不祝儀袋は、不幸が二度とおこらないようにという意味を込めて「結び切り」の袋を使います。不祝儀袋には熨斗(のし)はつけません。
熨斗は元々はアワビを伸ばして乾燥させたものが起源で、生ものの象徴であるとされるためです。「ちょう結び(花結び)」の水引も弔事では使いません。
宗教・宗派による水引の色の違い
仏教・仏式、キリスト教式、神式(神道)のいずれの宗教・宗派でも、香典袋の水引は基本的に黒白の結び切りが無難です。
地域による水引の色の使い分け
関東や東北など東日本では黒白や白黒の水引が一般的ですが、関西や北陸など西日本では、法要の際に黄白の水引の香典袋を用いることがあります。
ただし黄白の水引は通夜や葬儀、告別式では使わないのが原則です。地域によって若干の違いはありますが、葬儀の際は黒白の結び切りを選ぶのが最も無難だと言えるでしょう。
水引の色の順位としては、黒に近いほど悲しみが深く、金に近いほど喜びが大きいとされています。葬儀の場では、故人を偲び、遺族の悲しみに寄り添う心を表すためにも、黒白の結び切りの香典袋を選ぶことをおすすめします。
まとめ
告別式での香典の金額相場や渡し方のマナーについて理解することは、故人を偲び、遺族に敬意を払う上で大切なことです。香典の金額は、故人との関係性や自身の年齢によって異なりますが、おおよその相場は把握しておきましょう。親族の場合は30代以上で5万円〜10万円程度、友人や職場関係なら5千円〜1万円程度が一般的です。また、香典袋の表書きや水引の色、お札の入れ方など、細かなマナーにも気を配りましょう。黒白の水引で「結び切り」の香典袋を選び、お札は裏向きに揃えて入れます。香典は袱紗に包んで、心を込めた言葉を添えて渡すのがマナーです。
監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)
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