臨終とは?葬儀までの流れと家族がやるべきこと
大切な人を看取り、臨終を迎える時、多くの人はどのように対処すればよいか戸惑うものです。この記事では、臨終の意味や定義、危篤との違いから、臨終後の手続きや葬儀の流れまでを詳しく解説します。臨終の際の正しい知識を身につけることで、故人を敬愛の念を持って見送ることができるでしょう。
臨終の意味と危篤との違い
臨終の定義と特徴
臨終とは、人生の最期を迎える直前の状態を指します。この段階では、もはや回復の見込みはほとんどなく、死が目前に迫っています。臨終期には、呼吸が浅くなり、脈拍が弱まるなどの身体的変化が現れます。また、意識レベルが低下し、反応が鈍くなることもあります。
臨終期の特徴として、以下のような点が挙げられます。
- 生命維持機能の低下により、死が確実に近づいている状態であること
- 医療的介入によっても回復が見込めないこと
- 家族や親しい人々に看取られながら、最期の時を迎えること
臨終期は、人生の最終章であり、尊厳を持ってその時を迎えることが大切とされています。
危篤の定義と臨終との違い
危篤とは、生命が危機的な状況に陥っている状態を指します。重篤な病気やケガによって、生命の危険が迫っている場合に用いられる言葉です。危篤状態では、まだわずかながらも回復の可能性が残されています。
一方、臨終は、危篤状態から更に進行した段階であり、回復の見込みがほとんどない、死が避けられない状況を指します。臨終期には、危篤期と比べて、生命兆候がより顕著に低下します。
危篤 | 臨終 |
---|---|
生命の危機的状態 | 死が避けられない状態 |
わずかな回復の可能性あり | 回復の見込みがほとんどない |
病状が深刻 | 更に病状が進行 |
つまり、危篤と臨終は、生命の危機的状態という点では共通していますが、臨終のほうが死により近い状態であるといえます。
医師による死亡確認の方法
医師が死亡を確認する際には、いくつかの方法があります。一般的には、以下の手順で死亡確認が行われます。
- 心拍停止の確認:聴診器を用いて、心臓の拍動が停止していることを確認します。
- 呼吸停止の確認:胸の動きや鼻腔・口腔からの呼気の有無を確認し、呼吸が停止していることを確認します。
- 瞳孔反射の消失確認:明るい光を眼に当てても、瞳孔の縮小反応がないことを確認します。
- 死亡時刻の記録:死亡確認を行った時刻を正確に記録します。
これらの確認を経て、医師は死亡診断書を発行します。死亡診断書は、法的にも死亡を証明する重要な書類となります。
臨終期を迎えた際には、医療スタッフや家族が見守る中で、安らかに最期の時を過ごせるようにするのが大切です。そして、死が確認された後は、故人への感謝の気持ちを込めて、丁重に遺体に対応することが求められます。
臨終が近づいた時の兆候
寝ている時間の増加
臨終が近づくと、体力の低下に伴って寝ている時間が増加します。昼夜問わず眠りにつく時間が長くなり、会話や食事の時間が少なくなります。これは、身体機能の衰えにより、生命を維持するためのエネルギーを温存しようとする自然な反応です。
また、眠りが浅くなり、すぐに目覚める、あるいは逆に数日間眠り続けるなど、睡眠パターンが不規則になることもあります。家族は、こうした変化を見守りながら、できる限り安楽な環境を整えてあげましょう。
安らぎを感じる変化
臨終が近づくと、痛みや苦しみが和らぎ、安らかな表情を見せることがあります。このような変化は、身体的・精神的な安寧を感じている証拠だといえます。
また、今まで会えなかった人に会いたがったり、好きだった音楽を聴きたがったりするなど、心の奥底にある願いを口にすることもあります。家族は、そうした要望にできる限り応えてあげることで、穏やかな最期を迎えられるようサポートしましょう。
お迎え現象の種類と意味
お迎え現象とは、臨終間際に見られる不思議な現象のことです。亡くなった家族や友人が迎えに来る幻覚を見たり、天国や花畑などの美しい情景を見たりするケースが報告されています。
お迎え現象が起こる理由は明らかになっていませんが、脳内物質の変化や精神的な安らぎが関係していると考えられています。お迎え現象を経験した人の多くは、穏やかな表情で旅立っていったと言われています。
臨終間際の家族の過ごし方
臨終間際は、家族にとって大切な時間です。できる限り傍らに寄り添い、今までの思い出を語り合ったり、感謝の言葉を伝えたりしましょう。故人の手を握ったり、優しく声をかけたりすることで、最期まで愛されていることを感じてもらえます。
また、故人の好きだった音楽を聴かせたり、思い出の品を側に置いたりするのもよいでしょう。穏やかで安らかな雰囲気の中で、最期のひと時を過ごせるよう心がけることが大切です。
そして、医療スタッフともよく相談し、適切なケアを受けながら、尊厳あるお見送りができるよう準備しましょう。
臨終後から葬儀までの一連の流れ
ここでは、臨終後から葬儀までの一連の流れについて説明します。
死亡診断書の取得方法
まず、医師による死亡確認が行われ、死亡診断書が発行されます。死亡診断書は、死亡届の提出に必要な書類で、医師法第19条により、医師でなければ交付できないと定められています。
死亡診断書の記載事項は以下の通りです。
- 死亡者の氏名、生年月日、死亡の年月日時分
- 死亡の場所及び種類(自宅、病院等)
- 死亡の原因及び種類(病死、外因死等)
- 診断書作成者の住所、氏名、診断年月日
死亡診断書は、遺族が医師に依頼して作成してもらいます。かかりつけ医や、臨終に立ち会った医師に相談するとよいでしょう。
故人へのエンゼルケアの内容
エンゼルケアとは、亡くなった方の体を清め、着替えさせるなど、死後の処置を行うことです。エンゼルケアは、医療スタッフや葬儀社の担当者によって行われます。
エンゼルケアの主な内容は以下の通りです。
- 全身を拭いて清める
- 着替えをさせる(死装束や病院着など)
- 顔にガーゼをかぶせる
- 開いた目を閉じる
- 口元を縛る
- 両手を組ませる
エンゼルケアは、故人の尊厳を守るために丁寧に行われます。遺族は、エンゼルケアの際に見守ることもできますし、最後の言葉を伝えることもできます。
ご遺体の搬送と安置の手順
エンゼルケアが終わったら、遺体を安置する場所に運びます。自宅で亡くなった場合は、葬儀社の担当者が搬送を行います。病院で亡くなった場合は、霊安室に安置されます。
搬送・安置の手順は以下の通りです。
- 遺体をストレッチャーに乗せる
- 搬送車両に積み込む
- 自宅または霊安室に運ぶ
- ドライアイス等で冷やしながら安置する
- 枕飾りを設営する
安置の際は、故人の体が傷つかないよう、丁寧に扱うことが大切です。また、遺族の希望に応じて、好きな服装や小物を飾ることもできます。
葬儀社選びのポイントと依頼方法
葬儀社は、葬儀の進行や各種手配を行ってくれる頼もしい存在です。葬儀社選びのポイントは以下の通りです。
- 費用の明朗会計
- 丁寧な対応
- アフターフォロー体制
- 希望に沿ったプランの提案
- 宗教や地域の慣習への理解
葬儀社への依頼方法は、以下の手順で行います。
- 複数の葬儀社に見積もりを依頼する
- プランの内容と費用を比較検討する
- 疑問点があれば質問し、納得のいく回答を得る
- 最終的に依頼する葬儀社を決定する
- 打ち合わせを行い、葬儀の詳細を詰めていく
信頼できる葬儀社を選ぶことが、スムーズな葬儀の進行につながります。遺族の希望をしっかりと伝え、葬儀社と二人三脚で葬儀の準備を進めましょう。
遺言書の確認と死亡届の提出先
故人が遺言書を残していた場合、その内容を確認する必要があります。遺言書の開封は、家庭裁判所の検認を受けてから行います。検認の申立ては、遺言書を持っている人が行います。
また、亡くなってから7日以内に、死亡届を市区町村の戸籍係に提出しなければなりません。死亡届には以下の書類が必要です。
- 死亡診断書または死体検案書
- 届出人の印鑑(記載内容が訂正となった場合に必要)
死亡届の提出先は、亡くなった人の本籍地か、亡くなった場所、届出人の住所地のいずれかの市区町村役場になります。
遺言書の確認と死亡届の提出は、故人の遺志を尊重し、必要な手続きを行うために重要です。期日までに漏れのないよう、適切に対応しましょう。
以上が、臨終後から葬儀までの一連の流れです。故人を偲び、感謝の気持ちを込めて、丁寧に手続きを進めていきましょう。
葬儀の基本的な進行手順
葬儀は、故人を偲び、弔う大切な儀式です。ここでは、葬儀の基本的な進行手順について説明します。
通夜の目的と参列者へのマナー
通夜は、故人の最期を看取り、別れを惜しむ場です。遺族や親しい人々が集まり、死を悼み、故人を偲びます。通夜の目的は、以下の通りです。
- 故人との最後の別れを告げる
- 遺族を慰め、支える
- 弔問客をもてなし、感謝を伝える
通夜に参列する際は、以下のマナーを守ることが大切です。
- 黒い喪服で参列する
- 香典を持参し、受付で渡す
- 焼香の際は、一拝してから線香を手向ける
- 弔電や供花を送る場合は、通夜前日までに手配する
遺族の気持ちに寄り添い、故人を偲ぶ気持ちを込めて、通夜に参列しましょう。
葬儀・告別式の一般的な流れ
葬儀・告別式は、通夜の翌日に行われるのが一般的です。葬儀・告別式の一般的な流れは以下の通りです。
- 受付:会葬者弔問客の受付、会葬礼状の配布、香典の受け取りを行う。
- 読経・焼香:僧侶による読経の後、参列者が順番に焼香する。
- 弔辞:故人と関係が深い方が弔辞を読み上げる。
- 閉式の辞:葬儀の終了を告げ、参列者への感謝の意を伝える。
葬儀・告別式では、静粛な雰囲気の中、故人への感謝と哀悼の意を表します。宗教や地域の慣習に合わせて、厳かに執り行われます。
火葬の手続きと遺骨の扱い方
葬儀・告別式が終わったら、火葬場へ向かいます。火葬の手続きは以下の通りです。
- 火葬許可証を提出する
- 火葬炉前で最後の別れを告げる
- 収骨室で遺骨を拾う
- 遺骨を骨壺に納める
収骨の際は、以下の点に注意しましょう。
- 熱くなっているので、慎重に扱う
- 遺骨は、頭部に向かって順に拾っていく
- 遺骨は、大切に扱い、こぼさないよう注意する
遺骨は、分骨して複数の骨壺に納めることもできます。遺族の意向に沿って、適切に遺骨を扱うことが大切です。
火葬までの一連の流れを丁寧に進めることで、故人に感謝と敬意を表すことができます。故人の魂が安らかに眠れるよう、心を込めて送りましょう。
葬儀プランの種類と選び方
葬儀のプランは、故人や遺族の意向、宗教、予算などを考慮して選択します。それぞれのプランにはメリットとデメリットがあるため、よく検討することが大切です。ここでは、代表的な葬儀プランの特徴を説明します。
一般葬の特徴とメリット・デメリット
一般葬は、通夜と告別式を行い、広く参列者を受け入れる伝統的な葬儀スタイルです。故人を偲び、弔うために多くの人が集まり、盛大に行われます。
- メリット:
- 故人の人望の厚さを示すことができる
- 参列者と悲しみを共有し、支え合える
- デメリット:
- 費用が高額になりやすい
- 準備や当日の対応が大変
家族葬の特徴とメリット・デメリット
家族葬は、身内や親しい友人だけで行う小規模な葬儀です。ゆっくりと故人を偲ぶことができ、近年人気が高まっています。
- メリット:
- 費用を抑えられる
- アットホームな雰囲気で、心を込めて送ることができる
- 日程や場所の自由度が高い
- デメリット:
- 参列者が限られるため、故人の人望を示しにくい
- 親族間の調整が難しい場合がある
一日葬の特徴とメリット・デメリット
一日葬は、通夜と葬儀・告別式を一日にまとめて行う葬儀スタイルです。遠方からの参列者に配慮でき、費用も抑えられるため、人気が高まっています。
- メリット:
- 参列者の時間的・経済的負担を軽減できる
- 通夜と葬儀の準備が一度で済む
- デメリット:
- 十分な別れの時間が取れない可能性がある
- 宗教的な儀式に制限がある場合がある
火葬式・直葬の特徴とメリット・デメリット
火葬式・直葬は、通夜や葬儀を行わずに、火葬のみを行う葬送方法です。簡素で費用を最小限に抑えられるため、経済的な理由から選ばれることが多いです。
- メリット:
- 葬儀費用を大幅に節約できる
- 葬儀の準備や手配が少なくて済む
- デメリット:
- 故人を偲ぶ機会が限られる
- 参列者への配慮が難しい
- 社会的な理解が得られにくい場合がある
故人や遺族の意向に合わせたプラン選択
葬儀プランは、故人の生前の意向や遺族の希望、経済状況などを総合的に考慮して選択することが大切です。また、宗教的な背景や地域の風習なども加味する必要があります。
プランの選択に迷った場合は、葬儀社に相談するとよいでしょう。葬儀社は、遺族の要望をヒアリングした上で、最適なプランを提案してくれます。
大切なのは、故人の人生を偲び、感謝の気持ちを込めて送ることです。葬儀のスタイルにこだわるのではなく、心を込めて最後のお別れをすることが何より大切なのです。
まとめ
臨終の時は、傍らで看取り、寄り添うことが何より大切です。故人の最期を穏やかに迎えられるよう、安らかな環境を整えましょう。医師の死亡確認を経て、葬儀の準備を進めます。故人の尊厳を大切にしながら、一連の手続きを丁寧に行うことが重要です。葬儀では、感謝と哀悼の意を込めて、厳かに故人を送りましょう。葬儀のスタイルは、故人や遺族の意向に沿って選択します。心を込めた最後のお別れが、悲しみを癒す一助となるでしょう。
監修 角田(株式会社葬儀のこすもす)
家族葬のセレモニーハウスは、神奈川県、東京都、北海道(札幌市)で、心のこもった家族葬をご納得いただける価格でご提供している家族葬専門の葬儀社です。
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